夏もまっさかりの8月某日、福島県のノーザンファーム天栄を訪れて牧場を見学させていただいた。そこで休養している重賞ウイナー2頭の近況を、この機会にリポートしたい。
最初に登場したのは
マリアライト(牝5歳、美浦・
久保田貴士厩舎)。
宝塚記念で
ドゥラメンテ、
キタサンブラックといった強豪牡馬陣を撃破し、G12勝目を挙げた現役最強古馬牝馬だ。厩舎から出てきたマリアは完全に
リラックスムード。馬体はふっくらと見せており、激闘の反動も癒えていることがうかがえる。記者に顔をなでられても動じることなく、じっとしている姿はさすがの貫禄といったところか。
木實谷雄太場長は「入場直後は前さばきが硬く、さすがに疲れを感じさせましたが順調に回復してきています。以前であれば疲労の回復に手間取っていたのですが、馬体もレース時より20キロ以上も増えていて、この回復の早さに成長を感じています」と目を細める。
復帰戦には
オールカマー(9月25日・中山)を予定しており、その後は
エリザベス女王杯(11月13日・京都)から
有馬記念(12月25日・中山)へ。「いい状態で送り出せるように頑張っていきたいですね」。年齢的に現役生活ラストになるであろう秋シーズン。母になる前に、さらにもうひと花を咲かせたい。
続いて見せていただいたのが、6月の
エプソムCで2つ目の重賞タイトルを手にした
ルージュバック(牝4歳、美浦・
大竹正博厩舎)。こちらも落ち着き払った様子で毛ヅヤも良好。順調に調整が進んでいることがはっきりとわかる。「前走後も休むことなく騎乗運動を継続しています。ただ去年の夏場に熱発してしまったように、この時期は体調管理に気を使う必要がありそうです」と同場長は説明した。
秋初戦は
毎日王冠(10月9日・東京)を予定しており、結果と内容次第では牡馬の王道路線へ向かうことも選択肢としてあるという。「まだ次走まで時間があるのでトレーニングはもちろん、体調管理により一層の注意を払っていきたいですね」。3歳時から出世が期待された大器。悲願のG1奪取に向けて飛躍の秋にする。
春シーズンに活躍した2頭の牝馬。この夏を充電に充て、もう一段階たくましくなった姿でターフに戻ってくるに違いない。(デイリースポーツ・刀根善郎)
提供:デイリースポーツ