今年は、人工知能(AI)のニュースが世の中を賑わせました。チェスや将棋に続いて、人間の「最後の砦」と言われた囲碁の分野でも、トッププロに人工知能が追いつき、追い越そうとしています。
それでは、競馬の分野ではどうなのか? プログラムによる競馬予測は、どのレベルまで到達しているのか? 人間の予想家は、将来的に生き残ることができるのか?
競馬に取り組んでいるデータ
サイエンスの専門家が一堂に会して、日頃の研究の成果を発表するイ
ベント「ウマナリティクス」が、23日(金)都内で行われました。70名を超える参加者の過半数は「競馬はあまり詳しくない」とのこと。競馬予測という未踏の分野に対するIT業界の注目度の高さがうかがい知れます。
発表者は、ビジネススクールの准教授、IT企業の
エンジニア、情報工学系の大学院生などさまざまで、テーマや分析手法も、行動経済学、ディープラーニング、ランキング学習、統計学など多士済々。
競馬には、分析すべきデータが豊富に存在しますし、なおかつ明確な形で解答=レース結果が出ます。じつは、データ
サイエンスときわめて親和性が高いゲームなのです。データ
サイエンスの技術者たちが「競馬に目をつけた」のはつい最近の話ですが、人が集まることによって技術が加速度的に進歩していくのがITの世界では常識です。競馬ファンも、この分野の動向には今後注目が必要かもしれません。
なお、イ
ベントは
有馬記念の前々日ということで、参加者の予想プログラムによる
有馬記念の予想大会も行われました。ぜんぶで5者のうち、3者の本命が
キタサンブラックに集中。
サトノダイヤモンドが本命1、対抗2。穴には
マリアライト、
ミッキークイーン、
デニムアンドルビーの名前が上がりました。ちなみに、それ以外で本命に挙げられたのは、なんと最低人気を争う
ムスカテール!
また、
エキシビジョンとして、歴代優勝馬の対決をシミュレーションした『幻の
有馬記念』の映像も公開されました。予測したプログラムの開発者は、プログラム予想コンテスト『第1回電脳賞』で回収率100%超えを達成した実績の持ち主。予測システムの名称は
AlphaImpactですが、勝ったのはその名の由来となった
ディープインパクトなのか? 結果は、YouTubeやニコニコ動画に公開された動画で見ることができます。
(撮影・文:横手礼一)
関連URL
https://www.youtube.com/watch?v=T8f3wsZgtss