今年1月、記憶に残る名馬がターフを去った。国内外でG1・6勝を挙げた
モーリスだ。15日の中山競馬場では引退式が行われ、多くのファンが別れを惜しんだ。今後は北海道安平町の社台スタリオン
ステーションで種牡馬入りする。個人的に種牡馬
モーリスは無限の可能性があると思っている。これは単純に競走成績で判断しているわけではない。日本を土壌にしている限り、血統に大きな魅力があるからだ。
スクリーンヒーロー産駒の
モーリス。父の母父は偉大な種牡馬
サンデーサイレンスになる。これは何を意味するかというと、
ディープインパクトなどの
サンデーサイレンス産駒の種牡馬を父に持つ繁殖牝馬と配合すると、
サンデーサイレンスの4×3のインブリードが完成するのだ。4×3のインブリードは大物を輩出する血量として知られている。
ノーザン
ファーム代表の吉田勝己氏は「優秀な牝馬をつけるつもりですよ」と種牡馬
モーリスへの大きな期待を寄せる。さらには「今年は
ジェンティルドンナとの交配を予定しています」とG1馬の花嫁候補を挙げた。父と母を合わせてG1・13勝。ともに海外でG1を制した実績があるだけに夢は広がる。
ここからは記者の妄想。サンデーの4×3インブリードとなる組み合わせで真っ先に思い浮かぶのは
スペシャルウィーク産駒の
ブエナビスタだ。G1・6勝のうち4勝を東京でマークした母との組み合わせからは“府中の鬼”が生まれるのではないか。距離をマイルに特化するなら、13年、14年の
ヴィクトリアマイルを連覇した
ヴィルシーナ、15年、16年を連覇の
ストレイトガールが絶妙だ。とてつもないマイラーが誕生するかもしれない。
日本では先述した馬以外にもサンデー産駒の種牡馬を父に持つ優秀な繁殖牝馬がそろっており、これからも増え続けるだろう。そこにこの血統。種牡馬として成功する下地は十分にあり、近い将来、父
モーリスを超える怪物が生まれる可能性は高いとみている。(デイリースポーツ・小林正明)
提供:デイリースポーツ