ようやく全てが実った瞬間だった。今月4日の
安田記念を制した
サトノアラジン。デビューから25戦を要し、念願のG1初タイトルを手にした。11年の当歳セレクトセールで1億3000万円(税抜き)もの値が付き、14年
エリザベス女王杯を制した
ラキシスを全姉に持つ良血馬が、回り道をしながらも悲願を達成した。
13年に新潟で新馬戦をV。続く
東スポ杯2歳Sでは5着に敗れた。1分45秒9のコースレコードでVを決めたのはのちの
皐月賞馬
イスラボニータ。両者が初めて対戦したレースは
イスラボニータに軍配が上がった。14年に入って迎えた
共同通信杯でも
イスラボニータが勝利し、
サトノアラジンは3着という結果に終わった。
その後、両者は別路線を歩みながらも、15年の
マイルCSで再び顔を合わせる。前哨戦の
富士Sで2着だった
サトノアラジンは
イスラボニータの3着に次ぐ4着。ここでも先着を果たせずに終わった。だが、
サトノアラジンは16年
京王杯SCで重賞初V。続く
安田記念では、初めて
イスラボニータに先着したが、自身の着順は4着と決して満足のいく結果ではなかった。
「前哨戦を気持ち良く勝ち過ぎて、本番で運がないパターンだった」と話すのが、
サトノアラジンを担当する山元助手だ。展開、枠順、加えて
サトノアラジンの場合は「天気」が自身のレースを大きく左右する。「今回は逆でしたね」と話す通り、今年の
安田記念はその要素全てが
サトノアラジンに味方をした。そして、これまでのうっぷんを晴らすかのように、絶好の良馬場で能力を出し切れたと言っていいだろう。
G1初制覇を決めた翌日、山元助手の口から出た言葉が印象に残っている。「ずっと
イスラボニータにコテンパンにされていたけど、やっとひっくり返せた」。
サトノアラジンと
イスラボニータの戦いが、これからもマイル戦線を盛り上げてくれるに違いない。(デイリースポーツ・向 亮祐)
提供:デイリースポーツ