ひと足早く北海道シリーズが先週からスタートしたが、今週の東京、阪神を最後に
JRAの前期日程が終了。舞台は中京、福島へと流れて本格的な夏競馬がスタートする。フルゲート18頭の
宝塚記念にエントリーが11頭と寂しいのは、適材適所、サラブレッドの住み分け、使い分けの思想が広がったせいか。GIのフルゲート割れは、実はサマーシリーズの定着、成功を物語るものなのかもしれない。
さて、今週に限れば本場・東京も“裏”扱い。重賞もなくローカルまでのつなぎ的舞台であることは否めないが、ラストの東京を夏への重要な“つなぎ”と捉える馬も中にはいる。日曜メーンのオープン・パラダイスSに登録する
グランシルクである。
「最近はフラストレーションのたまる競馬ばっかりで参っちゃう。力負けと思えない内容で2、3着続きなんだからな。このまま賞金加算できないんじゃ、今後は使いたい重賞も使えなくなる。もうオープン特別でも何でもいいから、勝てるレースを勝つことが先決だろ」
前走・
京王杯SC(3着)の翌週、思わずこんなグチをこぼしたのは担当の本間健二助手。その気持ちはよく分かる。オープン入り後の4戦は枠、流れ、展開すべてがかみ合わない競馬続き。「4歳時の降級前に比べたら、馬は格段に良くなっている。これが
ステイゴールドの成長力だね」と語っていた
戸田博文調教師の言葉とは、正反対の結果に終わっているのだ。
「短期放牧を挟んだけど、雰囲気は変わらずいい。東京千四は相性のいい舞台だし、今回はかなり重要な一戦だね。ここを勝って賞金加算できれば、7月23日の
中京記念(中京芝1600メートル)から始まるサマーマイルシリーズも視野に入れるつもりだから」
先週こう語った指揮官にとって、ここは夏競馬への大事な懸け橋。春につかみ損ねた主役の座を夏こそもぎとる――。
宝塚記念出走組に負けない意気込みで挑む同馬の走りに、当方は注目せざるを得ない。無論、野球チームのラ
イバルとしてではなく、取材対象として“スラッガー”本間健二の笑顔が久々に見られると最高である。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ