フラッシュはたかない。大声は出さない。パドックでの当然のマナーだ。しかし、これらの事項が守られているかというと、そうでもなく、ダメと言われている
フラッシュをたいて写真を撮る人もいれば、大声を出してしまう人もやはりいる。
今春の
大阪杯のパドックでも、ちょっとした事件があった。
「子供が大きな声でずっと“頑張れ〜”って叫んでいて…。あの声に反応してほとんどの馬がチャカついてしまった。みんな困ってましたよ」とは
ミッキーロケットの橋本美助手の弁だ。
これから走る馬たちに対して子供なりに精一杯の声援を送っただけで、もちろん悪気はなかったのだろうが…。馬にとっては逆効果になっていたというわけだ。ただし、そんな状況でも、唯一その声に動じることなく、歩いていたのが
キタサンブラックだったという。
「あれを見てやっぱり
キタサンブラックはすごいと思いましたよ。あの馬だけです。平然としていたのは」(同助手)
かつて当コラムで「
キタサンブラックが近くに来るとラ
イバルがおとなしくなってしまう」という関係者の話を紹介したが、これこそが王者の風格というものなのだろうか。しかも、この中間はその風格がさらに増している感じもあるという。
「
大阪杯の時は中間、少しイライラするところを見せていた時もありましたけど、今回は馬がすごくドッシリしています。春の3戦の中では一番といっていいぐらい、落ち着き払ってますよ。もっと気合を表に出してくれた方がこちらも安心するのに…って思うくらいに」(
キタサンブラック担当の辻田厩務員)
GI・3連戦、天皇賞レコードV後の反動…今回も重箱の隅をつつくような疑いの目を一部で向けられているが、そんなものは難なく乗り越えてしまいそうだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ