単勝1.4倍の断然人気支持された
ホワイトフーガが4着に沈むという波乱の結果。まずは上位入線馬のレースのポイントを挙げてみる。
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アンジュデジールは、距離短縮に斤量にも恵まれ、川崎1600mのコースを完璧に乗った。
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ララベルは
ホワイトフーガを負かしに行ってほぼ完璧なレースができたものの、勝ち馬に出し抜けを食らった。
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タイニーダンサーは57kgでもきっちり自分のレースをした結果が3着。
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ホワイトフーガは能力を発揮できず。
以上、おしまい……では回顧にならないので、ひとつひとつ詳しく見ていく。
トーコーヴィーナスは最内枠に入って当然のようにハナを主張し、
ララベルが2番手というのは予想されたとおりの展開。
アンジュデジールも互角のスタートから2番手の一線だったが、
ララベルが譲らない構えだったため内目の好位4番手となった。ペースが極端に速かったり遅かったりしなければ、これは川崎コースでは絶好の位置取り。
3コーナーから
ホワイトフーガが仕掛けて外から進出し、
ララベルは当然
ホワイトフーガを負かさないことには勝てないので、ハナを譲るまいと呼応して仕掛け、当然馬体を併せに行った。ここで追い出しを一呼吸待ったのが
アンジュデジール。そのタイミングで、逃げていた
トーコーヴィーナスが勢いをなくし、
ホワイトフーガに併せに行った
ララベルとの間が1頭ぶんだけ空いた。
アンジュデジールは、4コーナーでその一瞬を突いて抜け出した。
関東オークスからの距離短縮、そして3歳馬ゆえの52kgはかなりの条件好転。そして難しい川崎の4コーナーで内を突くスペースがあった。レースを見ていて思わずこのシーンで、「あっ、
アンジュデジールにやられた」と声を出してしまった。ただ、
トーコーヴィーナスに勢いがあって直線まで粘っていれば、
アンジュデジールは3頭の外に持ち出さねばならず、そうなれば
ララベルに粘られていたかもしれない。ただそのあたりの他馬の手ごたえは鞍上の
横山典弘騎手がしっかりと見ていたのだろう。
ララベルは、対
ホワイトフーガということでは完璧なレースをした。あのパターンに持ち込んで、直線での追い比べに負ければ、それは単に力負けだったということ。ただ今回、
ホワイトフーガとの勝負には勝ったが、相手は別にいたというだけ。あらためてダート
グレードを勝てる能力は示した。陣営にとってはまことに悔しい敗戦だっただろう。
タイニーダンサーは57kgを背負っていることもあって無理せず7番手から。直線でもしっかり脚を使い、今回も自分の競馬はした。
ホワイトフーガが意外な凡走だったぶん、3着に食い込んだ。
ホワイトフーガも4コーナーまでは理想のレース運び。内枠に入ったため、一旦下げて外に持ち出すというのも、おそらく想定していたのだろう。スタート後の直線では先頭からやや差はあったが、無理することなく前との差を詰め、向正面ではそれほど差のない5番手。力んで走っているような場面もあったが、この馬にしてみれば許容範囲内で折り合った。きちんとペースをつくる逃げ馬がいて、川崎のマイル戦はやはりこの馬に合っている。普通なら直線で突き抜けるパターンだが、まったく伸びず。敗因は、
さきたま杯で牡馬と厳しいレースをした反動か、ノド鳴りの症状が出たか、そのあたりではないだろうか。おそらく58kgが敗因ではなく、とにかく能力が発揮できなかった。
トーコーヴィーナスは、このメンバー相手に前半のペースもやや厳しいものとなって、5着はまずまずの好走。グランダム・ジャパンでは、一昨年の3歳シーズン、そして昨年の古馬シーズンに続いて、3年連続の女王に向け、きっちり5ポイントを稼いだ。