週中の栗東トレセンでの一番の話題はやはりセレクトセール。なかでも日本のセリ史上2番目の高額=5億8000万円で落札された
イルーシヴウェーヴの17(牡)への関心度は群を抜いて高かった。
「(近藤利一氏と)最後まで競り合った里見(治)さんは、あの馬の前に落とそうと、手を挙げていた馬も競り負けていたから、余計に意地になって値段が上がっていったんだと思う」
「ペイできるかどうか? あれは一種のお遊びみたいなもの。お金がそれだけあるということなんだろう」
いろんな声が飛び交っていたが、なかでも多くのトレセン関係者が口にしていたのが「セールの超高額馬は走らない」という、これまでの“あしき”データだ。
過去の国内のセリで記録した高額取引馬ベスト5のうち、未勝利で終わった馬、1戦1勝で引退してしまった馬がそれぞれ1頭。史上最高額だった6億円馬
ディナシーに至ってはデビューすらせず、引退しているのだから恐ろしい。
「高額馬を競り落としたオーナーの名前を見てみれば分かる。毎年、顔触れが変わっているからね。高額馬がそれに見合う結果を出しているなら、翌年も同じオーナーが高額馬を買うはず。だけど決してそうじゃない。そこが競馬の難しさなんだ」とは2000年のセレクトセールで3億2000万円という破格値をつけた
カームを中央時代に管理した中村調教師だ。
とはいえ、もちろん、こんな声もある。
「とんでもなく高かったけど、確かにあの馬は素晴らしかった。そりゃ、あれだけの人たちがあそこまで競るんだから、いい馬には間違いないよ」
果たして
イルーシヴウェーヴの17が、どういう成長を遂げてトレセン入りし、そして、どんな走りを見せてくれるのか。今から興味が尽きないところではある。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ