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スタミナ勝負で能力全開ミツバ/マーキュリーC回顧(斎藤修)

  • 2017年07月18日(火) 18時00分
 ダート路線は、いま大きな世代交代の最中にあるようだ。ホッコータルマエが昨年限りで引退し、そのホッコータルマエのGI/JpnI最多勝記録の10勝にあと1勝で並ぶコパノリッキーも今年限りでの引退が決まっている。昨年末の東京大賞典以降、古馬のダートGI/JpnIは、かしわ記念(コパノリッキー)を除いていずれも4、5歳の新興勢力が勝ち馬となっている。

 実績を重ねた高齢馬のリピーターが活躍する傾向にあるこのマーキュリーCでも、一昨年までは別定重量で57kg以上を背負った実績馬が上位を賑わしたが、昨年は唯一58kgを背負ったソリタリーキングが着外に敗れ、ついに今年の出走馬で別定重量が増量されたのは56kgのクリノスターオーだけとなった。

 それにしてもクリノスターオーのレースぶりは一貫している。逃げ馬を2番手から突いていって競り落とし、みずからは直線でどこまで粘れるかというもの。それがオーバーペースとなれば逃げ馬もろとも直線で失速ということもある。クリノスターオーの過去の戦績を見ると、相手がどの馬であろうと通過順には見事に「2」ばかりが並んでいるのが興味深い。ちなみに早々と失速した前走は長期の休み明けで馬体ができていなかったようだ。

 予想されたとおり、逃げたのはドリームキラリで、定位置の2番手を追走したクリノスターオーは、おそらく思い描いていたとおりに直線で先頭に立った。しかし直線に坂のある盛岡コースはスタミナ勝負のバテ競べになることが多く、ともに長く脚を使える人気2頭、内からはピオネロ、外からはミツバに交わされ、ミツバピオネロをクビ差でしりぞけてのゴールとなった。

 盛岡コースは昨年同様の高速馬場で、勝ちタイムは昨年よりコンマ3秒速いだけの2分2秒1。ただレースの質は違っていた。昨年が前半ゆったり流れて、4コーナーでは7〜8頭がズラリと横に広がっての追い比べとなったのに対して、今回は前半1000mも後半1000mもほとんど同じ61秒前後という平均ペース。テンに行ける脚のないミツバは先頭からやや離れた6番手あたりを追走した。砂を被りたくないため、一旦下げて外に持ち出したということもあっただろう。3コーナーからは鞍上が懸命に手を動かしてもなかなか前をとらえることができなかったので苦しいのかとも思えたが、それでも最後まで脚を使えるのがこの馬の強さだ。

 2012年、奇しくも今年とまったく同じ2分2秒1(当時はコースレコード)で制したシビルウォーが典型的なスタミナタイプ。地方の小回りコースでは向正面から延々追い通しとなるが、それでも直線までしっかり脚を使って勝ち負けに持ち込む。ミツバは、タイプ的にシビルウォーの再来といえそうだ。

 そのミツバがあっと驚く大逃げに出て逃げ切った昨年のブラジルCは、たしかにあのような奇策は横山典弘騎手の専売特許ともいえるが、坂のある長い直線でも最後までバテないこの馬の持ち味をうまく引き出した結果だったといえるだろう。

 現在、中央競馬で行われているオープン以上のダート戦では2100mが最長距離だが、地方には名古屋グランプリ(2500m)やダイオライト記念(2400m)があり、今年まだ5歳のミツバには活躍の舞台となりそうだ。

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