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猛暑で大荒れの福島競馬 狙いは「チャキチャキした」馬/トレセン発秘話

  • 2017年07月20日(木) 18時00分
 週明けの美浦で“舎弟”伴啓太に先週の奮闘(14番人気エテレイン2着)をたたえると、別世界を振り返るように言葉を返してきた。

「今夏の福島競馬場は“どこでもサウナ”。乗っているほうとしては強烈な我慢大会でしたが、思ったより馬が頑張ってくれましたね」

 先週当欄でも記した通り、梅雨明け宣言も出ないうちから今夏は強烈な猛暑日続き。山あいの福島では湿度も手伝い、のしかかるような暑さが続いている。

「例年はジリジリ焼け付くような新潟の灼熱地獄が強烈ですが、今年の福島はまた別格です。弱い馬はよりきついってのもあるけど、3レース連続騎乗の後は僕だって死ぬかと思った。実際、10鞍も乗っている人はすごいと思いますよ」

 過酷な状況下でコンスタントに結果を出すのは、人馬ともに簡単なことではないだろう。前出エテレインが2着した3歳未勝利戦を含め、先週福島は10万円超の3連単が7発飛び出したが、気候との因果関係も少なからずあるかもしれない。

 一方で、“美浦のご意見番”こと国枝栄調教師が、こんな言葉を当方に投げかけてきた。

「本来は夏モードの競馬をすべきなんだろうけどね。中央にナイター競馬はないし、装鞍所からレースまでの時間が短縮されることもない。以前に熱中症でパドックで倒れた馬もいたけど、かわいそうなのは人間の都合に左右される物言わぬサラブレッドだよ」

 確かに公正競馬の観点からすれば、過酷な状況下で走らせること自体が不条理か。それも含めてバクチという考えもできるが、より良い商品(=レース)を提供するには季節に応じた工夫があってしかるべきという思いもある。

「サラブレッドは世界的財産。だから俺たちだって、なるべくいいコンディションで送り出そうと工夫はしている。この時期は“やり過ぎないこと”が大事。活力を残して競馬に向かうのが一番だからね。ただ、難しいのは普段からデレッとした太めの牡馬かな。人間と同じでチャキチャキしたタイプのほうが暑さには強いもん」(国枝師)

「夏は牝馬」の格言もおそらくこんなところが由縁だろう。“迷ったら牝馬”は今夏のセオリーとなりそうだが、いずれにせよ人馬ともに無事に夏競馬を終えてほしい。そう思わせる2017年の猛暑である。

(美浦の宴会野郎・山村隆司)

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