今週いっぱいで終了する夏の函館&中京開催。両開催に共通するトピックといえば、レコードが頻発したことだ。
函館では
函館スプリントSの1分06秒8という驚異的な勝ち時計を筆頭に、レコードタイムが実に6度。中京でもダート1鞍、障害2鞍を含め、同じく6回のレコードがマークされた。
レコードがつくと我々、伝える側はそこを強調しがちだが、果たして厩舎関係者にとってレコードはどう受け入れられているのだろうか?
「昔はレコードを記録すると“レコード賞”っていうのがあって。
JRAから金の記念メダルをもらえた。結構うれしかったものだけど、今はもうそれもなくなったから張り合いはないわな」
最初は冗談めかした坂口調教師だが、続けて口にした方が本音だろう。
「それよりもレコードの後の成績がイマイチっていうことがよくある。やっぱりレコードで走るってことは、限界以上の能力を使うってこと。それだけ疲れもくるわな。調教でも同じだよ。坂路なんかで一番時計を出した馬は案外、競馬では走らない。なんでもやり過ぎは良くないってことや」
確かに「レコード勝ち後や調教一番時計をマークした馬は競馬で走らない」と、このサークルでは昔からよく言われる。実際、先週の函館では土曜のSTV杯で2番人気の
エリシェヴァ、日曜の北海Hで1番人気に支持された
メイショウガーデンと、前走レコード勝ちの2頭が、それぞれ鼻出血やら、道中競りかけられる不運もあったものの、ともに惨敗(10、6着)を喫している。
中京記念で人気を集めるのは前走の
米子Sで強烈な決め手を駆使し、1分31秒9のレコードで快勝した
ブラックムーン。「トレセンのジンクス」でいえば、安易に飛びつくのは危険ということになるが、果たして結果はいかに!?(栗東の坂路野郎・高岡功)