今夏は例年以上に暑くなる予報だという。年々気温は上昇し、幼少期は扇風機だけで過ごせたのが、今ではクーラーなしでは夜も寝つけないという人もいるのではないだろうか。
騎手たちはどんな対策をして真夏のレースに臨んでいるのか。特に
地方競馬では多い時で週に5日、レースが開催される。
地方競馬の複数の騎手に取材をしてみた。
多くの答えが返ってきたのは食事。この時期になると2〜3kg減ってしまい、体力的にもキツイという騎手が多く、そうならぬようしっかりとご飯を食べるという。それと同時に水分やミネラルの補給にも気を遣う。
佐藤友則騎手(笠松)は「野菜が多めの食事と、クエン酸を飲むなど心がけています」という。
杉浦健太騎手(兵庫)の場合は「以前からレースの合間に青汁を飲んでいたのですが、グレープフルーツが疲労回復にいいと聞いてこの夏から取り入れています」。
大柿一真騎手(兵庫)は「レースの合間に熱中症対策のラムネを食べています」と話した。
また、
園田競馬場で多くの騎手が取り入れているのが夏用の勝負服。メッシュ状の勝負服の他に、サラッとした薄い生地の勝負服がある。後者は遠目には気づきにくいが、伸縮性のあるエアロフォームに比べ、若干ではあるが袖口や腰回りにゆとりがある。2014年全国リーディングの
田中学騎手(兵庫)も愛用者の1人。
「さっきのレースでも着ていたよ。夏場は快適で重宝するね」
勝負服の下に着用しているプロテクターがわずかに透ける薄さ。より分かりやすい写真をと思い、手元に持っての撮影をお願いすると予想外の言葉が返ってきた。
「僕のはいいよ。そんなにキレイじゃないもん。これを作ってくれる人がいたんやけど、亡くなられてね……。もう新しいのを作ってもらわれへんから、ちょっと汚れてるねん」
その汚れは、夏場の騎手を気遣い作ってくれた人への感謝と流した汗の積み重ねだろう。どの騎手も大切に着用している。
(取材・文:大恵陽子)