「クイーンS・G3」(30日、札幌)
真夏の女王決定戦を制したのは、2番人気の
アエロリット。3歳マイル女王が自慢のスピードを発揮し、コースレコードタイを刻んで鮮やかに逃げ切った。横山典はこの勝利で北海道重賞(札幌・函館)完全制覇を達成。実りの秋へ、人馬ともにはずみをつけた。2着に6番人気の
トーセンビクトリーが入り、3着は8番人気の
クインズミラーグロ。1番人気の
アドマイヤリードは6着に敗れた。
千両役者が魅せた。じわっとハナに立った
アエロリットが、グングン加速し、向正面で後続に10馬身近くリードを奪う。だが、4角でその差は2馬身差まで縮まり、場内のどよめきは
ピークに。ガス欠か-。そう思わせた次の瞬間、再び息を吹き返して二枚腰。これぞ名手・横山典。全ては計算通りだ。絶妙なペース配分で3歳マイル女王をVへと導き、鮮やかな逃亡劇を演じ切った。
まるで
ジェットコースターのようなスリル満点の騎乗。額の汗を拭った鞍上は「やっぱりスピードがありますね。きょうもいつも通り、馬の気持ちを損ねないように。ペースは速かっただろうけど、斤量52キロでしたし、最後まで頑張ってくれると思いました」。口取り写真のあとには得意のデットーリジャンプを披露。札幌開幕週を劇場化したベテランの業に、北都のファンは酔いしれた。
NHKマイルC以来の実戦に、戦況を見守った菊沢師は「強かったですね。たぶんゲートを五分に出たら(ハナに)行くのではと思っていたし“行ってもいいよ”とは言っておいたんです」。強固な絆で結ばれた義兄弟タッグ。あうんの呼吸で始動戦を制した。
18キロの馬体増には「見た目も、乗った感じも太い感じはしなかった。いい時期に、いい成長をしてくれた」と目を細める。放牧を挟んで見据える秋。「3歳牝馬ですから。千八でこういう競馬ができたので、そういうところになるのかな」と指揮官は
秋華賞(10月15日・京都)の参戦を示唆。盛夏につかんだ自信を胸に、芦毛の女王はさらに進化をし続ける。
提供:デイリースポーツ