夏の小倉開催開幕週のパドックを見た人はモクモクと煙のようなものが漂っていることに気付いただろう。暑さ対策のため、今年から導入された「ミスト」だ。見た目には涼しそうに見えたこの“新兵器”、実際にパドックで馬を引いていた関係者に話を聞くと、そうでもなかったようで…。
「ミスト自体が妙にぬるくて全然、涼しく感じなかった。装鞍所についていたミストの方がよっぽどひんやりしていた」といった声が大勢を占めた。なかには「ずっとミストを出しっぱなしにしていないから、管の中で水が温められてしまうんじゃないの。見た目には涼しそうだったから、パドックで馬を引いている時に、わざとミストの方に寄っていったんだけど、全然効果なかったわ」と手厳しい意見を寄せる厩務員さんもいた。
まあ、先週が初お目見えだったわけで、まだ試行錯誤の段階。こうした対策を行うこと自体は素晴らしいことなので今後
バージョンアップされることを望みたいものだ。
そもそも熱中症になる馬が続出する過酷な夏競馬は「パドックの周回時間を短くした方がいい」という声もある。人馬ともに体調を保つためにも、現場の意見はやはり拝聴に値する。
一方、こんな暑いシーズンに限って体調が上がってくる馬もなかにはいるわけで…。「冬場は毛ヅヤも冴えないし、なかなか体も絞れない。この時期がやっぱりいいですね」と斉藤助手が“夏馬”と強調する
小倉記念の
ストロングタイタンはその典型か。その前走(
マレーシアC)はクビ差の辛勝に見えたが、「4角で左後ろを落鉄していたし、2着馬が来れば来るだけ伸びていた。着差以上に強い競馬だった」と手応え十分だ。
本命はすでに
タツゴウゲキに決めている記者だが、相手本線はこの
ストロングタイタンに決めた次第である。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ