今週の注目馬といえば、GIII
エルムS(13日=札幌ダ1700メートル)に出走する
テイエムジンソクだろう。
東大路S(1600万下)から目下3連勝中という勢いもさることながら、前走の
マリーンSが0秒8差の楽勝という
ビッグインパクト。ラ
イバルと目される有力馬の某担当キュウ務員は「あんな競馬をされたら他は何もできない。まともなら今回もあの馬に勝たれてしまう」とレース前から、あきらめの境地に入っているほどだ。
「(短期間で)“これだけ変わるものなのか”って感じ。まあ、小回り、滞在…いろいろなことがすべていい方に向いているんだろうね。なんというか、馬が自信を持って競馬をしているもの」とは管理する木原調教師の弁。ただし、気になることもあるようで「他の馬に比べると線が細く見えるんだよね。ダートで重賞を勝つような馬は、もっとボリュームのある体をしているような…。そのあたりが今回のメンバーに入ってどうなのかな」。
確かにダート路線の一流馬は大抵パワフルな馬体をしており、500キロ超を誇る馬が当たり前。バリバリの砂重賞戦線の中に入ると、
テイエムジンソクの492キロ(前走時)の馬体はやや細身に映る。もっとも、関係者の中には「馬格=能力」の声はそう多くはなく、そこに「因果関係は認められない」との声の方がむしろ多い。
中央、地方合わせてダートGIを10勝した名馬
ホッコータルマエを担当していた西浦キュウ舎の相良助手は「人間が中年になってから体格が良くなるのと同じで、馬にとっても本当に幅が出てくるのは年を取ってから。それが必ずしも競走能力と結びつくわけじゃないんだよ。
ホッコータルマエにしても馬体だけで言えば、一番良かったのは現役最後のころだった。馬体に幅がなくても、筋肉質で高い能力を持った馬はいるし、線が細くてもダートGIを勝っている馬は何頭もいる。結局は個々の問題で、そこまで気にすることもないと思うんだけどね」。
“砂の猛者”を育て上げた関係者は、
テイエムジンソクのダート重賞タイトル奪取に、ノープロブレムの
ジャッジを下している。
果たして木原調教師の不安は的中するのか、杞憂に終わるのか。坂路野郎も後者の結末になると思っているが…。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ