記者にとって10年ぶりの札幌滞在で衝撃的と感じるのが、週中に現地に訪れる調教師の少なさだ。以前は陣頭指揮を執るトレーナーでにぎやかだった調教師エリアも、今年は閑古鳥が…この状態が開幕2週続いている。開催日数が削減された影響が、指揮官の動きにも表れているのだろうか。
そんな中で1週目に続き3週目にも姿を見せたのが、藤原辰雄調教師。気に掛けるのは、オープンから2段階降級となった牝馬
ディーズプラネットなのだろう。火曜(8日)にあいさつするや否や「思ったより背負わされたなぁ」と発表された日曜(13日)の大雪ハンデ(ダート1700メートル)の斤量の話題を振ってきた。
「体があるから56キロに泣きはしないだろうが、何せ今年のダートは時計が速い。スピード比べだと軽量馬が台頭する可能性も高くなるから、他とのハンデ差がなぁ」
先週土曜(5日)の同距離では500万条件で1分44秒6(良)の決着。底力より軽快さが武器となりやすい舞台であるのは確かで、その慎重なトーンは杞憂とも言い切れない。
函館開幕週は高速ターフが話題となったが、札幌ではスピード化したダートがひとつの
トピックスだ。その意味では今週メーン・GIII
エルムS(日曜=13日、札幌ダート1700メートル)もスピード勝負への対応が大きなカギとなろう。「
ドリームキラリ、
モンドクラッセ、
クリノスターオー。これに
テイエムジンソクが絡んで前が競り合う流れになれば助かるね」とは差し馬
ピオネロを送り出す大渡祐一助手の弁だが、硬すぎる馬場で逆に“行った行った”の形になる可能性を考慮すべきかもしれない。
さて、今週もうひとつの札幌の注目レースは、土曜(12日)の2歳オープン・
コスモス賞(芝1800メートル)。
JRA所属馬が7頭と札幌の調教師エリア並みの寂しさはあるが、洋芝に狙いを定めた
ヴィオトポスにとって、ここは大事な
ステップである。
「母の
マイネヴィータは札幌で新馬勝ちして
札幌2歳Sを2着。そんな血統も含めてこっちが合うんじゃないかと思い、早い段階から逆算して調整してきました。放牧でリフレッシュできたし、体に厚みが出て成長も感じます」と語るのは担当の塩野晋助手。初陣の東京芝千四は、直線でヨレる若さを見せながらも力強く差し切りV。それを踏まえて「今は調教で真っすぐ走るし、競馬もスムーズに運べると思う。結果を出して次に進みたいですね」と同助手。見据える先は母と同じ舞台である。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ