トレセンでは日々、放馬のアク
シデントが起こる。すぐ捕まるケースもあれば、厩舎地区を散々走り回って暴れるケースも…。放馬した馬の近くにいる馬は正直、いい迷惑だ。しつこく追いかけられるシーンはよく見るし、猛然と走って来られることで、暴れてしまい“2次災害”が起こる恐れもあるのだから…。
先週の坂路でいつものように放馬があった。逍遥馬道を猛然と走るカラ馬。ちょうどその場面に、
ローズSに出走する
ミリッサが遭遇してしまった。「以前の
ミリッサなら暴れていた」とは大井助手だが、
ミリッサは放馬した馬を何事もなくやりすごし、素知らぬ顔をしていたんだとか。
「本当に平然としていた。あれを見ても馬がドッシリして、ちょっと大人になったかなという気はする。女子高生から女子大生になった感じかな」
そんな
ミリッサの精神的な成長は前走(
有松特別=1着)のレース発走直前に起きたアク
シデントにも表れていた。
カイザーバルがゲート内で暴れて競走除外に。この事故の隣の枠にいたのが
ミリッサだったが、この時もつられて暴れるのではなく、おとなしくジッとしていた。
「以前なら追い切りをした後はカイバを結構残していたんだけど、今はほとんど食べてくれる。トモの張りも良くなって、心身ともに成長したね。短期放牧に出るたびに馬が良くなっている感じ」
ローズSに臨むにあたって先週、今週と2週続けて併せ馬を行った。これはデビュー戦(1着)以来のこと。それだけ負荷をかけられる充実した状態にあるのはもちろん、勝負をかけてきた証しでもある。
「ここでいい競馬ができないようでは本番どうのは言ってられないから」
確かにその通り。姉の
シンハライトが昨年勝ったレースで、妹も奮起した走りを見せてくれそうだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ