スマートフォン版へ

直線の追い比べで強さ見せたアポロケンタッキー/日本テレビ盃回顧(斎藤修)

  • 2017年09月28日(木) 18時00分
 あらためて触れるまでもないかもしれないが、中央4頭はいずれもGI/JpnIの勝ち馬で、サウンドトゥルーこそ7歳だが、ほか3頭は4歳か5歳でまだまだ将来が期待される馬。対して地方馬は重賞実績がないか、もしくは勝っていても何年も前という馬たち。当然のように中央4頭の勝負となって、地方最先着の5着馬には大差、それも4着馬と5着馬は3秒4もの差がつく結果となった。

 それでもゴール前は中央4頭による見ごたえのある接戦となった。先行争いにはならず、すぐに隊列が決まり、1000m通過が62秒6というゆったりしたペース。中央4頭はいずれも余力を残して直線を向いているため、追い比べとなってどの馬も同じように力を発揮したことで、クビ、3/4、1/2という差の接戦となったのだろう。もう一度レースをすれば、この4頭の順番はどうにでも変わりそうなほどの差だった。

 末脚勝負のサウンドトゥルーが内の2番枠に入り、ほか中央3頭が外枠に固まり、どういう展開になるかと思ったが、やはりサウンドトゥルーは下げて外に持ち出す作戦。前3頭は、枠の順番どおり、モーニンケイティブレイブアポロケンタッキーという隊列。サウンドトゥルーは、そこまで下げなくてもと思うほど位置取りを下げた。

 まずは勝ったアポロケンタッキーだが、出遅れというほどではないものの、スタートでやや出負。それで気合をつけたらそのまま掛かって行きそうになり、鞍上が手綱を引いて抑える場面があった。4コーナーから直線を向いたところでは、前の2頭をとらえればという競馬。東京大賞典でも、前にいた2頭、コパノリッキーアウォーディーを射程に入れて差し切ったように、この馬は追い比べになると強い。ゴール前では外からサウンドトゥルーに詰め寄られたが、内のケイティブレイブとゴール前まで競り合ったぶん、最後までしっかり脚を使った。早くに先頭に抜け出していれば差し切られていたかもしれない。

 前走帝王賞での5着はドバイ遠征の反動があったようで、ここできっちり立て直してきた。とはいえこれがまだ目一杯の仕上げではないようで、このあと、秋のダートGI戦線では中心的な存在となりそうだ。山内研二調教師によると、今年はまだ3戦しかしていないことから、レース後の馬の状態次第では、中1週の南部杯を使ってからJBCクラシックという可能性もあるようだ。そうしたローテーション的なことでも今後の上積みが期待できる。

 2着にはクビ差届かずというサウンドトゥルー。スタート後に大きく位置取りを下げたと書いたが、前がゆったり流れていただけに、当然のように早めに前にとりついた。仕掛けていったのは、向正面に入って残り1000mあたりから。そして残り800mのあたりで、あっという間に前3頭の直後につけた。レースの中でもっともラップが落ちたところ(13秒4)で、無理に脚を使ったということはない。大野拓弥騎手も、このあたりでペースが緩むだろうというのはわかっていたと思われる。走破タイムは、勝ったアポロケンタッキーとタイム差なしの1分52秒9で、上り3Fは、アポロケンタッキーの37秒1に対して、サウンドトゥルーは37秒2と、わずかに及ばなかったぶんが最後のクビ差。

 それにしてもサウンドトゥルーは、レースの流れに惑わされず、常に持てる能力を発揮する。昨年の日本テレビ盃アウォーディーモーニンの一騎打ちとなって、2着のモーニンから5馬身離されての3着。それでも自身の走破タイムは1分53秒0で、上り37秒3。今年よりそれぞれコンマ1秒ずつ遅かっただけ。この馬自身はまったく同じ質のレースをしている。さらに一昨年の日本テレビ盃サウンドトゥルーにとっての重賞初制覇だったが、そのときはコパノリッキークリソライトが競り合って1000m通過が59秒9というオーバーペース。直線その2頭の脚が上がったところを差し切ったが、サウンドトゥルーの上りは37秒2。前が止まったぶん、ものすごくキレたように見えたが、実は自身の能力をきっちり発揮したというだけ。勝ちきれないレースが多いものの、崩れることもほとんどないのがこの馬の強みだ。

 ケイティブレイブは、前走帝王賞こそ出遅れて直線一気という、これまでにないレースぶりで快勝したが、やはり先行してこそ。白山大賞典浦和記念名古屋大賞典を勝ったときのように、逃げるか2番手から早め単独先頭で押し切るというのがこの馬の勝ちパターン。複数頭数の追い比べとなっては分が悪い。

 逃げたモーニンは、最後に競り負けて4着。昨年のこのレースではアウォーディーとの一騎討ちとなって、アウォーディーより2kg重い58kgだったため、負けたのも仕方なかった。しかし今回は他の中央3頭より1kg軽い57kg。しばらく勝ち星から遠ざかっており、最後のひと押しに欠ける印象だ。

みんなのコメント

ニュースコメントを表示するには、『コメント非表示』のチェックを外してください。

ミュート・コメント非表示の使い方
  • 非表示をクリックし「このユーザーの投稿を常に表示しない」を選択することで特定のユーザーのコメントを非表示にすることができます。(ミュート機能)
  • ※ミュート機能により非表示となった投稿は完全に見えなくなります。このため表示件数が少なく表示される場合がございますのでご了承ください。なお、非表示にしたユーザーはマイページからご確認いただけます。
  • 『コメント非表示』にチェックを入れると、すべてのニュース記事においてコメント欄が非表示となります。
  • ※チェックを外すと再びコメント欄を見ることができます。
    ※ブラウザを切り替えた際に設定が引き継がれない場合がございます。

アクセスランキング

注目数ランキング

ニュースを探す

キーワードから探す