夏休みを終えてトレセンに戻ってくる馬の多くは太って戻ってくるので、厩舎は絞るのに苦労するものです。しかし、
リスグラシューはむしろ逆で少し寂しい体で栗東に帰ってきました。
「あのときはちょっと心配になった。輸送の影響もあったのでしょう。でも、最近は食欲もあって、いい体になっていますよ」と矢作師。担当の北口厩務員も「食欲の秋らしく、カイバ食いは旺盛」と太鼓判を押していました。もう2歳時のような食の細い彼女ではないようですね。その甲斐あって、
ローズSの後もしっかりカイバを食べており、10日現在、馬体重は446キロを記録しています。お腹もお尻も
ローズSの前より余裕があるように見受けられます。
「
ローズSの後、極端に増えてもいないけど減ってもいない。京都への輸送の距離は短いので、ここから極端に減ることもないでしょう。」(矢作師)
今朝11日は坂路コースで追い切られました。時計は52.4-38.3-24.7-11.9。「私の指示より速いタイムだったけれど、無理はしていないしオーバーワークにもなっていない」と指揮官は納得の表情でした。
リスグラシューは、意外にも京都コースが初めてなんですよね。でも、そのあたりは「一瞬のキレで勝負するタイプだから、京都の内回りは合っていると思う」と歓迎。
週末の雨予報については「本当は良馬場のほうがいいけど、
桜花賞であれだけ悪い馬場をこなしているからね。まぁ、大丈夫だろう」としていました。
矢作師はGIをはじめ、本当に2着が多いんですよね。中央重賞は25勝しているのに2着が49回もあります。わたしはこれまで競馬を見てきて、1着馬と2着馬にフィジカル面で大きな差はないと思っています。かといってメンタル面とも言い切れない。レースの巧さもあるでしょう。しかし、最後は“運のあるなし”にかかっているように思います。
リスグラシューは阪神JFも
桜花賞も2着でした。
「ツキがあれば、勝てると思う。そういう状態にあると思う」
そう言いながら、日曜の午後の雨雲の行方よりツキを探すべく、シミジミと天を仰ぐ矢作師でありました。
(取材・写真:花岡貴子)