オークスなら
スイートピーS、ダービーでは
プリンシパルS…純然な
トライアルでありながら、全くもって本番に直結しないレースの代表例だ。
秋華賞トライアルの
紫苑Sも長らく同じような立ち位置にいたが、近年はその傾向が変わってきた。その“先鞭”をつけたのが2014年に
紫苑S2着から本番を制した
ショウナンパンドラ。高野調教師は
紫苑Sを選んだ理由を「まず500万を勝ったばかりだったので(
秋華賞への)権利を確実に取りたかったのと、阪神1800メートルと(この年、中山の代替で施行された)新潟2000メートルを比べて、より競馬がしやすいほうを選びました」と振り返った後、「本番と同じコーナー4つのコースであることも理由のひとつでした」と補足した。
「ワンターンで上がりの競馬になりやすい阪神外回り1800メートルの
ローズSと、テンから速いラップになりやすい京都内回り2000メートルの
秋華賞では、レースの質が全く違う。
紫苑Sのほうが、より本番に近いということになりますからね」
今年、高野調教師と同じようなことを口にしているのが
ディアドラの橋田調教師だ。同じく
紫苑Sを選んだわけをトレーナーは、こう話す。
「権利を取りやすいのもあったけど、本番と同じコーナー4つの競馬を、より経験させたかったのも理由のひとつ。いろんなことを経験している古馬なら、その必要もないのでしょうが、3歳馬ですからね。ト
リッキーで、ややこしい中山をこなせれば、京都2000メートルは、まだ競馬もしやすいはずですから」
その
紫苑Sでは外を回ってねじ伏せる着差以上に強い勝ちっぷり。本番に向けて類似コースでの経験値を高められた上に、その勝ち方も強烈となれば、
ヴィブロス→
パールコードと
紫苑S組のワンツーになった昨年に続き、今年もまた
紫苑S組の
ディアドラが浮上しそうだ。
「去年から重賞になったわけだし、これから、ますます
紫苑Sの価値は高くなると思いますよ」
橋田調教師の“予言”が現実のものになるかは
ディアドラの走りにかかっている。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ