確かにムラ馬と言えばムラ馬だろう。何の話かといえば、
秋華賞に出走する
カリビアンゴールドだ。担当する吉田芳行厩務員の口癖は「この馬だけは競馬場に行ってみないと分からない。前日まで“すごくいいな”と思っても、当日に気配がガラッと変わっちゃうんだもん。変なスイッチが入ると、絶望的に舞い上がっちゃうタイプ」。その言葉通りこれまでは好走と凡走を繰り返した。実際、フタを開けてみなければ分からないのだ。
もっとも、それゆえに△印だった前走・
紫苑S(2着)は、当日に評価を大幅修正。パドックは落ち着き十分、返し馬は折り合いバッチリ。◎
ディアドラ(1着)との馬券を本線で仕留めることができたのは僥倖だった。
「見た目通りオレ、若い女の子は得意じゃないから(笑い)。まだ彼女のご機嫌を取り切れていないのかもね」とヨッチャン(吉田厩務員)は言うが、実際、3歳牝馬は大なり小なりそんなものだろう。だからこそ3連単1000万円超の08年を筆頭に、
秋華賞も波乱の歴史に彩られてきた。過去10年で
トライアル・
ローズS→本番を連勝した正統派はわずか2頭。それが
ダイワスカーレット、
ジェンティルドンナという男勝りの歴史的名牝であったことを思えば…。まさに女心と秋の空。“本命党殺し”のGIである。
おそらく今年も確実に荒れるだろう。クラシックに早々に乗った馬にすれば、経験する理由のない(?)ト
リッキーな舞台(京都内回り2000メートル)に加えて、週末の天気は全国的に下り模様。おそらく重要なのはフィジカルよりメンタルの充実度。それを予想の機軸にする方向で当方は考える。
ちなみに前出
カリビアンゴールドに関しては「前走後は変に気負うことなく精神的にドッシリしている。食いもすごく良くて、体も470キロ近くまで回復してくれた。長距離輸送ではいつも大きく体を減らす馬だけど、その点はクリアできそう」とヨッチャン。追い切り当日(11日)の晩は決起集会(RB会)が予定されており、その宴席で果たしてヨッチャンは何を語るのか。それを予想の参考とするのはもちろん、核心に迫る話があれば確定版でも再び記すつもりだ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ