10月29日、東京競馬場で行われる伝統の一戦、
天皇賞・秋。
オークス馬・
ソウルスターリングは“3歳馬”かつ出走馬中ただ1頭の“牝馬”。父が英国の無敗の怪物フランケル、母がGI・6勝の名牝
スタセリタ、父母合わせてGI・16勝の超良血馬ということもあってデビュー前から注目の的。その重圧にも負けず、既にGIを2勝している。秋の始動戦となった
毎日王冠(GII)では、1番人気に支持されるもデビュー以来初めての着外となってしまった。紅一点
ソウルスターリングの巻き返しなるか、注目は
藤沢和雄調教師の手腕だ。
過去30年で“3歳馬”は31頭が秋の天皇賞に挑戦。1着になったのは2002年の
シンボリクリスエス、1996年の
バブルガムフェローの2頭のみと苦戦を強いられてきた。しかし、その数少ない3歳の天皇賞馬を管理していたのはいずれも
藤沢和雄調教師だった。
バブルガムフェローは
ソウルスターリング同様、
毎日王冠で敗戦(3着)してからの臨戦。藤沢和師は古馬も含めこれまで秋の天皇賞を5勝、そのうち2002年の
シンボリクリスエスを除いた4回が、前哨戦で敗戦しており、
ソウルスターリングも本番での修正に期待がかかる。また、近年では
毎日王冠と
天皇賞・秋を連勝したのは2009年の
カンパニーと2006年の
ダイワメジャーのみで、むしろ
毎日王冠で負けた馬の
天皇賞・秋の勝利が多いのも好材料。2012年の
エイシンフラッシュは
毎日王冠9着から巻き返し天皇賞馬となった。
さらに、“3歳”の中でも“牝馬”のみに絞れば挑戦したのはこれまでわずか3頭。その中でも光るのはやはり藤沢和師の手腕。2004年には秋初戦の
秋華賞で人気を裏切り4着に終わった
ダンスインザムードが、
ゼンノロブロイには及ばなかったものの2着に激走。しかもその時に手綱を取ったのは
ソウルスターリングの主戦である
C.ルメール騎手だった。1999年に8番人気で4着だった
スティンガーも
藤沢和雄厩舎の管理馬(この馬も前哨戦・
毎日王冠で4着に敗戦していた)であり、師は
天皇賞・秋において“3歳牝馬”でも周囲の期待以上の結果を残してきた。
前哨戦で人気を裏切ってしまった“3歳牝馬”
ソウルスターリングだが、
藤沢和雄師が辿ってきた
天皇賞・秋本番での巻き返しの歴史、またこれまで
ソウルスターリング自身が見せてきたパフォーマンスを見れば、頂点に立つ可能性は充分。週末は名伯楽の手腕に注目してみたい。