最初に断っておくが、決して自慢話ではない。馬単(1万3360円)を本線的中させた先週のGIII
みやこS。その経緯を当方が振り返るのは、血の宿命を再認識したからだ。
テイエムジンソク(1着)◎は極めて
ナチュラル。想像力を働かせたのは▲
ルールソヴァール(2着)のほうだ。
JBCクラシックを制した全兄
サウンドトゥルーの勢いにあやかったわけではない。買ってみたかった理由は兄と非常に似通ったそのキャリア。
ともに途中に去勢後、1000万で足踏み。ようやく5歳でオープン入りするが、暑さが苦手で夏は放牧。つまり稼働時期が冬というのも共通項である。「これでもまだ全然本気で走っていない」という
高木登調教師の言葉、さらに「前走の夏至S(1着)は夏バテ気味で、本当に自信がなかったんです」との川嶋孝典助手の弁に、兄同様の上昇曲線を感じての穴指名であった。
「この一族は格負けしないパワーがあるんだ。いけるよ!」とキュウ舎番頭格の宗方聖助手を叱咤したのは先週半ば。
サウンドトゥルーは言わずもがな、半兄
コンフォーコは1000万→1600万を連勝、半姉
ツインクルスターも1000万卒業後、1600万を2、1着。勢いに乗れば簡単に止まらない一族という認識だ。
ルールソヴァールの今回2着がフロック視されるなら、次走もおいしい配当にありつけそうだ。
さて、前置きが長くなったが、今週のGI
エリザベス女王杯にも“血の宿命”を感じる馬が出走する。今年主役と目される
ヴィブロスだ。昨年の
秋華賞、今春の
ドバイターフですでにGI2勝。勲章の数は13年→14年の
ヴィクトリアマイルを連覇した全姉
ヴィルシーナに並んだ。それでも拭い切れないイメージ…。それは長嶋茂雄でなく野村克也、ひまわりでなく月見草。当方にすれば最優秀助演賞たる血統イメージである。
全姉
ヴィルシーナには
ジェンティルドンナ、半兄
シュヴァルグランには
キタサンブラックという光り輝く絶対的ラ
イバルが同期に存在した。だが、
ヴィブロスはどうだろう。同期の
桜花賞馬
ジュエラーは骨折、
オークス馬
シンハライトは屈腱炎で早期引退。幸か不幸か、強さの尺度を見いだせないまま現在に至っている。異世代対決の今回は勝てばきょうだい初の
JRA賞(
最優秀4歳以上牝馬)が決定的となる一戦だが…。“血の宿命”を覆す真の主役となり得るか、注目の一番である。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ