日本には欧米のような天候などの理由で出走を取りやめる“スクラッチ(scratch)”制度はありません。もしも、日本にスクラッチがあったなら、今年の
天皇賞(秋)や
菊花賞では不良馬場を理由に出走をやめる馬がいたことでしょう。
天皇賞(秋)に出走した
サトノアラジンもきっとそうしていたはず。でも、ここは日本。こんな「れば」「たら」を言っても仕方ありませんね…。
「
天皇賞(秋)のときは絶好調。状態は過去最高というほどいい仕上がりだったんです。でも、あの馬場では…」
と、
サトノアラジンを担当する山元助手は苦笑い。ホント、あの条件では
アラジンらしい走りを求めるのは無理。ただでさえエンジンは一級品ながらも大型馬ゆえに器用さに欠ける
アラジンにとって、あの馬場ではエンジンをいくら吹かそうにもカラ吹かしに終わらざるを得なかったのは言うまでもありません。
でも、幸いなことに
アラジンは引き続き、元気な状態で
マイルCSに向かえそうです。
「馬はとても元気で、前走のいい状態をキープしています。獣医さんも問題ないと言ってくれていますしね。もともと、大型馬で競馬を使っていくにつれてパフォーマンスが上がっていくタイプ。今回こそは
アラジンらしい脚をお見せしたいです」
サトノアラジンは
マイルCSのあとはまもなく検疫厩舎に入り、香港への遠征が決まっています。
「枠はジョッキーがなんとかしてくれるでしょう。京都コースも悪いわけではないですし。勝つ力はある。あとはホンマに天気だけです。良馬場になって欲しいです」
(取材・写真:花岡貴子)