先週の
エリザベス女王杯で16着に敗れた
ジュールポレールが当初、下半期の目標にしていたのは別のGIだった。
「
ウインガニオンと
ジュールポレールと
ハクサンルドルフ。この3頭を揃って
マイルCSに使いたいね」
秋競馬開幕時、西園調教師はこんな野望をぶち上げたのだ。では
ジュールポレールはなぜ実績のあるマイル戦を捨て、距離経験のない
エリザベス女王杯へ向かうことになったのか?
トレーナーが坂路野郎にポツリと漏らしたのは「
マイルCSは同じオーナーの馬が使うみたいだから…」。いわゆる「使い分け」。同じG1レーシングの
ペルシアンナイトを指すことは明らかだろう。
結局、G1レーシングは
サングレーザーも前哨戦の
スワンSを快勝したことで、「有力馬2頭出し」で
マイルCSに臨むことに。何やらこの社台系新興クラブ法人が、今年のキーポイントになるような気がする。そして2頭のうち、坂路野郎がより気になるのは
ペルシアンナイトの方だ。
「GI馬
アルアインを筆頭に、未勝利からオープンまで、調教で池江厩舎のいい馬にたくさん乗せてもらってますけど、この世代では一番雰囲気がある。自分が競馬で乗ってみたいと思うのは
ペルシアンナイトなんですよ」とは水口ジョッキー。特にこの後の証言は軽くは扱えない。「自分が調教で乗っているイメージでは
サトノアラジンとダブるんですよね。中距離でも走るけど、マイルでためたらグンと伸びるんじゃないかという感じ」
今年春の
安田記念の覇者とダブるとなれば、マイル王戴冠の資格は十分。ではなぜ前哨戦の
富士Sでは5着に敗れたのか? これには担当の斉藤助手がこう回答してくれた。
「
ハービンジャー産駒だけど、“サンデー(サイレンス)っぽい”って乗った誰もが言いますから。跳びがきれいで、スパッと切れる脚がある。だから前走はあれだけ馬場が悪くなったのがこたえました」
さらに補足すると、この
ペルシアンナイトという馬は、いつも放牧帰りは体を減らして戻ってくるのだという。過去最長の5か月の休み明けで調整が難しかったうえに、不得手の不良馬場。
富士Sは「5着止まり」というよりは、「よく掲示板に載った」と捉えるのが正解なのかも。
大きな上積みが見込める叩き2走目、さらにパンパンの馬場で競馬ができるようなら…。
エリザベス女王杯ではもう1頭の担当馬
ミッキークイーンで惜しい3着に泣いた斉藤さんが、今度は
モズカッチャンを見事に勝利に導いた
ミルコ・デムーロを味方にして、笑うことになるかもしれない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ