今週、羽月キュウ舎に足を踏み入れるやいなや、先週の
武蔵野Sを快勝した
インカンテーション担当の長谷川助手から「ちょっと、こっちに来てください」と手招きされた。
「ところで、先週の
武蔵野S、どんな印つけてました?」
思わずギクッである。担当キュウ舎で、関係者から景気のいい話を聞き、さらには「いい競馬ができそうですね」などと適当な相づちをうっておきながら、実は印は「△」。こういう時、快勝されたりすると、その印は隠匿しておきたくなるものなのだが、それを長谷川さんに思い切り見透かされていたというわけだ。
「いや、僕としては勝ち負けになると思っていたから当然、上位人気になると…。でも新聞を見たら印がやけに薄かったもので。あまりにもスカスカだと悲しくなってしまうんですよね」
こちらとしては「見る目がなくて申し訳なかったです」としか言いようがない。
これで
インカンテーションは
カネヒキリや
エスポワールシチーを超え、
トランセンド、
スマートボーイと並ぶ
JRAダート重賞最多の5勝目(
グレード制導入以降)をマークしたのだから大したものだ。
戦前からトレーナーが話していたように、今後は最大目標である来年の
フェブラリーSに向けて、最適のローテを組む模様(
チャンピオンズCは回避?)。その時の印は…熟慮に熟慮を重ねなければなるまい。
今週の
マイルCSでも人気はなさそうだが、関係者の話が悪くない馬がいる。
「この中間は気持ちの面がうまくリフレッシュできたし、馬体の方も叩き3戦目で今回が一番いい。古馬相手は楽ではないですけど、調教でジョッキーともうまくコンタクトが取れているし、走ってもおかしくないですよ」と中井助手が話す
レーヌミノルだ。
桜花賞制覇という輝かしい実績のあるマイルに戻れば、なんらかの印は必要かも…。ギリギリまで熟考したい。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ