勝つためのローテは確かにある。改めてそう思わせたのが、先週の
ジャパンCである。
連覇を狙った
キタサンブラック(3着)には落鉄というアク
シデントはあったが、GII
京都大賞典からの
ステップだった昨年と違い、今年は
天皇賞・秋からの“GI3番勝負”。「すべて勝つのは難しい」とレース後に
武豊は漏らしたが、ラストランとなる
有馬記念は最も欲しいタイトルのはず。2戦目でリミッターを外すわけにはいかなかったのだろう。昨年の
キタサンブラックを見習うように
京都大賞典から駒を進めた優勝馬
シュヴァルグランとは、運のみならず勝利への執念の差もあったかもしれない。
さて、今週は“もうひとつのJC”
チャンピオンズCが行われる。芝とダートの違いはあれ“勝つためのローテ”はおそらくこちらにも存在しよう。GIII
みやこS、GIII
武蔵野S優勝馬に優先出走権は与えられるが、近年の傾向から測れば、この2レースはむしろ傍流。本流は過去10年で5頭、近3年連続で優勝馬を輩出するJBCからの
ステップにある。
「夏に放牧を挟み、
日本テレビ盃→JBCという
ステップは過去2年とまったく一緒。それゆえの調整のしやすさは確かにありますね」
こう語るのは昨年の覇者
サウンドトゥルーの中垣功助手。ゲンを担いでいるワケではなかろう。暑さに弱く冬場が得意。それが同馬の本質。6月の
帝王賞(大井ダ2000メートル)で当たり前(?)のように負け、10勝中9勝を10〜4月に挙げるのもいわば計算の範ちゅう。冬場における崩れのなさは前出
キタサンブラックばりだが、果たしてこちらの連覇の可能性は?
「JBCが
ピークかと思ったら、さらに上があったというのが去年。ただ、その上昇曲線を今年もなぞらえている感はありますね。悪くなると硬さが出る馬で、
日本テレビ盃(2着)はまさにそんな状態。真っすぐ走れない時期もありましたが、今回はキャンターも一番
バランスがいい。左回りの千八はベストと思っているし、昨年のようにうまくさばけるかだけですね」
こちらも暮れの
東京大賞典をにらむ“秋2冠目”だが、最大目標はおそらく次より今回。2年連続の最優秀ダート馬のタイトルに向け、勝利への執念は相当である。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ