「プール調教」といえば、脚元の弱い馬が、脚部への負担を軽減しながら調整する苦肉の策…という捉え方をしてしまいがちだが、ゲートに難がある馬にも効果的な調整法だということを、恥ずかしながら今まで知らなかった。
この中間、ゲートに縛るなど、徹底的にスタート練習を行ってきたのが
チャンピオンズCに出走する
ゴールドドリーム。その過程でプール調教を行った際、担当の木下キュウ務員は知り合いのキュウ務員から「なんや、プールに来るということはお前の馬もゲートが悪いんか」と即座に指摘されたのだとか。「プールに行く馬はそれだけゲートが悪い馬が多いみたい。昔からそういうことは言いますよね」(木下キュウ務員)。
なぜ効果があるのか? その理由を説明するのは管理する平田調教師。「馬が
リラックスするんだよ。初めてプールで調教を行う時には、その中に入っていったり、泳いだりするために、人間の扶助が必要になるからな。そこで人の扶助に対する抵抗をなくさせることで、ゲート入りとかでも馬が素直になりやすいんだ」。
他の調教師に聞いても「馴致するために、ゲート並みに狭いスペースに馬を入れる場所もありますからね。そこで馬が我慢することで、ゲートの中でもおとなしくなるケースは確かにあります」(羽月調教師)。
ゲート練習はもちろん、プール調教の効果で、この中間はゲートの中ですっかりおとなしくなったという
ゴールドドリーム。中で落ち着くのと、ゲートを出ることはまた別問題だが、今の雰囲気なら前走(
南部杯5着)のように、中でバタバタすることはなさそうだ。
「前走はあれだけ出遅れても、最後はあそこまで詰めてきた。あがってきた(川田)将雅は“このメンバーでは抜けてますね”と言ってたくらい。ゲートさえスムーズに出れば…」(平田調教師)
ゴールドドリームが脅威の存在になることは間違いない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ