皮膚病のため、一時は出走を危ぶまれた
キセキだが、無事に予定通り
香港ヴァーズに出走する運びとなった。
「状態そのものはいいし、香港にきてからはコンディションが上がっているくらいですよ」と担当の清山助手。実際、馬体は全体的に毛ヅヤがいいし、筋肉のハリも目立っている。
菊花賞は稀にみるぐちゃぐちゃの不良馬場。あの馬場を懸命に走り切った後ということで、陣営もその疲れを心配していた。
「
キセキはとても体幹がしっかりしているんですが、だからこそあの
バランスが不安定になりやすい馬場で勝てたんだと思うんです。でも、当然ながらその反動は心配していました。実際、放牧から戻ってきて次のレースとして香港を目指すことが決まったあとも、万が一、反動が出て体調に不安がみられたら目標の変更もあり得ましたから」(清山助手)
だが、幸いなことに
キセキの体に極端な反動は見られなかった。
「普段、調教は岸本が乗っていますが、それ以外は自分で乗ることもあるんですけど。ある時、反動を心配する気持ちが消えないまま跨ったんです。でも、その時すぐに不安は消えましたね。『あぁ、この乗り心地なら大丈夫だ』と。疑った気持ちを持った自分を恥じたほど、素晴らしい乗り心地でした」(清山助手)
調教パートナーの岸本助手も「
菊花賞に続いて、いい状態をキープできています」と状態に自信を持っている。角居厩舎はこの香港・シャティン競馬場でGIを
ハットトリック(2005年
香港マイル)と
ルーラーシップ(2012年
クイーンエリザベス2世カップ)で2勝している。特に
ルーラーシップは
キセキの父であり、岸本助手が持ち乗りで担当していたとあって縁も深い。
「
キセキと
ルーラーシップは性格や雰囲気がよく似ていますね。
ルーラーシップでは香港のGIを勝たせてもらいました。仕上げは十二分に出来ているし、楽しみですよ」(岸本助手)
(取材・写真:花岡貴子)