昨年までは
朝日杯FSが2歳牡馬にとって唯一の
JRA・GIだったが、今年からは
ホープフルSとの2本立てに。この変化に興味津々の様子なのが松田調教師だ。
「(投票権のある)記者の人も、どっちのレースに重きを置くか、決めるのは大変でしょう。
JRA賞(
最優秀2歳牡馬)のタイトルが、どの馬になるかというよりは、どちらのレースから選ばれるのかということですからね」
師が管理する
京都2歳S2着馬
タイムフライヤーは
朝日杯FSをパスして、
ホープフルS参戦を決めたわけだが、「阪神の1600メートルと中山の2000メートル、どっちがレースを読みやすいかといえば、阪神の方でしょう」と解説する。
「中山2000メートルは無理難題がとにかく多い。コーナーが4つで、直線も短いし、一見逃げ馬が有利なようで、差し、追い込みも決まる。非常にレースが読みにくいんです。その点、阪神1600メートルはスタートからしばらくは直線で、何かあってもすぐに修正が利きやすいので力勝負になる。中山2000メートルに比べれば、紛れが少ない舞台と言えます」
それでもクラシックを目指す馬は距離的に2000メートル=
ホープフルSを選択せざるを得ないのだと言う。
「これがまだ昔のラジオたんぱ杯(NIKKEI杯)みたいに、阪神2000メートルで行われるのなら、競馬もしやすいんですが…」
松田調教師のように、ト
リッキーな中山2000メートルでクラシックに向けての2歳GIが行われることに肯定的ではないなかで、
ホープフルS出走を決めた関係者は少なくないのかもしれない。
かといって、中山から阪神に開催場所が変わってからの
朝日杯FSの勝ち馬が、その後きっちり出世しているのかといえば、過去3年の勝ち馬でその後GIを勝った馬がいないように、決してそうでもなく…。
結局のところ、“GI分化”によって、メンバーも分散。
朝日杯FSも、
ホープフルSも、物足りなさを抱えたままのGIになってしまう恐れもある。今後の盛り上がりのためには、なんとか今年の
朝日杯FS、そして
ホープフルSから来年のクラシックホースが出てきてほしいものだが…。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ