息もつかせぬ3日間開催で始まった2018年の
中央競馬は、中山初日2R(203万5310円)を筆頭に10万円超の3連単配当が東西で21発飛び出すなど荒れに荒れた。そんなわけで新年早々から懐事情が厳しくなった当方だが、対照的に幸先のいいスタートを切ったのが
手塚貴久キュウ舎である。縁起モノとされるGIII
中山金杯でキュウ舎初戦を白星発進。重賞2勝目を挙げた
セダブリランテスは通算5戦4勝。キュウ舎の看板ホースとしての一歩を刻んだのだから、ハッピー
ニューイヤーを叫ぶにふさわしい幕開けだった。
もっとも、それゆえキュウ舎内で別のジ
レンマが生まれつつある。それは
セダブリランテスの半兄
モンドインテロの存在だ。
ディープブリランテ産駒の弟に対し、由緒正しき(?)
ディープインパクト産駒の兄。当然ながらデビュー当初の期待もこちらが上だったが…。キャリア7戦でオープン入り→2戦目でオープン特別Vを果たすも、重賞はこれまで<0027>。担当の藤井省二助手が「今年は弟に負けられない? いや、もう負けてますやん」と苦笑いするのもうなずける。
ただ、重賞で力不足かと言えばさにあらず。GI
大阪杯を含む重賞9戦で5度の掲示板確保。前走の
チャレンジC(4着)にせよ着差はわずか0秒1だ。「メンバーを考えれば差し切ってほしかったけど、開幕週の馬場の割には流れない展開。最速上がり(3ハロン34秒4)の脚は見せたし、馬場、展開次第のポジションにはいつもいる」(手塚調教師)と、勝ちみの遅さがネックとなるだけである。
そこで指揮官が今年初戦に選んだのが昨年3着(0秒3差)の
日経新春杯。「まずは相性のいい京都へ」と言う通り、京都芝外2400メートルは3戦2勝とオハコの舞台だ。昨年の優勝馬
ミッキーロケットが今年も待ち受けるのは気になるが、陣営に臆する気配はみじんもない。
「昨年は55キロのミッキーに対してこちらは56.5キロ。今年は逆に0.5キロもらいになる。机上の計算通りとはいかないだろうが、当時の0秒3差は詰まると思うんだ。まあ、今回の結果次第だけど、2月のカタール・エミールズトロフィー(GI・芝2400メートル)の予備登録も考えている。直近で110の国際レーティングは求められるだろうし、ここはタイトルを取らせたいところ」
年明けから重賞3勝と絶好調のシルクレーシング軍団。その勢いを借りれば、師の描く“初夢”が現実となって不思議はないはずである。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ