愛知杯で人気を集めるであろう
マキシマムドパリ。昨年の覇者だけに当然とはいえ、ハンデ56キロは1頭だけポツンと重い印象を受けます。
「この数字は想定どおり。覚悟してました」
という担当の吉田助手。でも、1頭だけハンデが抜けて重いのは想定外だったようで、苦笑いしてました。
「でも、56キロという斤量自体はこれまでも経験しているし、問題ないですよ」
マキシマムドパリは牝馬ながらカイバ食いが安定していますが、決して最初からそうだったわけではないんです。
「性格が細やかですね。そのせいか、若いころは常にいろんなことを気にしていたし、カイバの食いも決していいほうではありませんでした」
でも、歳月と工夫を重ねていくうちに、徐々に彼女に変化が出てきたのです。
「だんだんカイバも食べられるようになりましたね。それにつれて、成績も安定してきました。“使い減り”しないのも、カイバをしっかり食べてくれるからです。気性的には休み明けだと少しポーっとしているので、レースを使ったほうが心身ともにコンディションがいいです」
馬房でも昔はいつも気が張っているところがありましたが、今ではノンビリできるようになりました。
「それでも、他の馬を競馬に連れて行くための馬運車が近くに来ただけでビクッとしてますから。根が細やかなのは相変わらずですね(笑)」
写真を撮りたくて近づいたところ、わたしのことはやや警戒しているようで馬房の隅に引っ込もうとするんですが、吉田助手が草を与えるとスーッと穏やかな表情で食べるんです。ホッとした時の
マキシマムドパリの顔、すごくきれいでした。
(取材・文:花岡貴子)