調教師の仕入れ傾向、調教
スタイルなどがどの程度、影響を及ぼすかは定かではないが、厩舎によって、距離、コースほか、得意な
ジャンルが少なからずあることだけは確かだ。
西園厩舎といえば、短距離、それも芝1200メートルに強いイメージがあるが、これまでの
JRA平地重賞26勝中、一番勝っているのは、実は芝1200メートル(5勝)ではなく、芝1600メートル。それも総数の半分近い12勝を、この距離で稼ぎ出しているのだから、データ上は“マイルの西園”といっても差し支えない。
「マイルで数多く結果が出ているのは、たまたまだと思うよ。もちろん、短距離でも多く勝っているし、
イコピコみたいに長い距離の重賞(2009年GII
神戸新聞杯=阪神芝2400メートル)を勝った馬もいるわけだから」とは当の西園調教師だが、一方でGIII
東京新聞杯(2月4日=東京芝1600メートル)の
ハクサンルドルフで新たなマイル重賞の勲章を手に入れる気は満々だ。
「戸崎(圭)は2着に終わった過去2戦とも、引き揚げてきた時に“結果を出せずにすいません。重賞を取れる馬なのに…”って言ってくれたくらい。数多く乗ってくれているミルコ(デムーロ)は“今一番、乗りたいのがこの馬”なんて言ってくれたこともあったな。それだけ乗っていて能力を感じる馬ってことなんだろう」(西園調教師)
一流ジョッキーを魅了しているのは、破壊力あふれる末脚。その最たる例が昨年6月の1600万下・多摩川S(2着)のレース内容だろう。
「東京のマイルで、57・5キロを背負って、32秒2の(上がりの)脚を使う馬なんて、そうそういないでしょ。毎回のように最速上がりでまとめてくるんだから大したもの」トレーナーとしてみれば、もっと早く重賞路線に乗せたかった馬なのだろう。
「以前は坂路で(4ハロン)54秒が一杯だった馬が、最近は追い切りでも動くようになってきた。右回りだと少しモタれるから、左回りのマイルがベストなんだ。賞金的にここで結果を出さないと
安田記念(出走)は厳しいと思うし、今度は取りこぼしたくないよね」
とても準オープンから上がってきたばかりの馬とは思えない、この自信あふれる発言。“マイルの西園”に新たなトロフィーが加わるのか、
ハクサンルドルフの走りに乞うご期待だ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ