初年度から抜群の勝ち上がり率を見せている
ロードカナロア産駒。昨年は86頭が中央でデビューし、実に30頭が勝ち上がったのだから極めて優秀だ。その主なカテゴリーは父が活躍したのと同じ芝1200〜1600メートル。豊富なスピードを生かして勝ち鞍を量産する姿が目立つ。
この快進撃に“2つの違和感”を抱いているのが、実は
ロードカナロアを現役時代に管理していた安田隆調教師だ。
「カナロア自身はオクテの馬だったので、早い時期からここまで活躍するのは正直、予想以上でした。それにカナロアは
天皇賞(秋)にも使いたかったぐらいで、間違いなくマイルより長い距離も持ったと思うんです。産駒ももっと距離に融通が利いていいはずなんですけどね」
今後、産駒が
ロードカナロアと同じような成長曲線をたどり、なおかつ距離適性に幅を持つようになれば、さらに攻勢が増すことになりそうだ。
現時点でその筆頭候補は、年明けのGIII
シンザン記念で牡馬を一蹴した
アーモンドアイだろうが…。
アルモニカ、
アンヴァル、
トロワゼトワル、
レッドシャーロット、
レッドレグナント(中山の
アネモネSが濃厚)と、GIIフィリーズRにも、その候補となる有力
ロードカナロア産駒が多数エントリーしている。
中でも記者が注目しているのは
アンヴァルだ。同日の古馬500万下を0秒8も上回る時計(1分09秒0)で楽勝した
福島2歳Sの走りは圧巻。その一方で、ひたすら1200メートルを使い続けてきた戦績から受けるイメージは、いかにも“仕上がり早のス
プリンター”となるが…。
「距離がカギになるのは確かだけどね。普段から落ち着いていて乗りやすいし、1400メートルなら十分こなしていいと期待している。対応力のある
ロードカナロア産駒でもあるからね」とは藤岡調教師。
管理していた安田隆調教師が主張する
ロードカナロアの本質。それを受け継いだ“真のカナロア産駒”なら、1ハロンの距離延長程度は楽々と乗り越えられる、いや、壁にすらならないはず。その真価をこのフィリーズRで見てみたい。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ