重賞クラスで活躍する馬の陣営に取材していると、オンとオフの切り替えがうまい、という話をよく聞きます。
高松宮記念に出走予定の
セイウンコウセイも然り。普段は落ち着いていますが、スイッチが入ったらグッと気持ちが乗るそうです。
「調教でも、走り出したらかなり燃えるタイプなんです。それでいてコントロールが利くところがこの馬の武器ですね」と調教パートナーの平田助手。その一方で、厩舎ではほんと実に落ち着いていて、その姿を見ているだけでは走るときに見せる気合乗りは想像しにくいほどです。
そのように気持ちの切り替えが上手な理由には、まず彼の賢さがあげられます。そして、もうひとつ。オフのときは調教パートナーは意識的に近づかないようにしているそうです。その距離感が、
コウセイにとって“いいオフの時間”をつくっているようです。
「自分が近づくとスイッチが入ってしまうんです。だから、午後の手入れの時間は自分の姿が見えないくらい遠いところにいるようにしています」(平田助手)
確かに。厩舎の構造は横長なのですが、
セイウンコウセイからは絶対に姿が見えないであろう位置で平田助手は別の作業をしていました。
パートナーとうまくやっていくためには、そういう距離の取り方もあるんですね。そして、この方法は人間にも応用できそうです。
セイウンコウセイの追い切りは競馬の当週に目一杯追い切る
スタイルが定着していますが、これも彼のテンションを競馬に向けてMAXへ持っていくため。今回もその
スタイルでしっかり仕上げられました。昨年の
高松宮記念を制した後はちょっとさみしい成績が続いていますが、前走は復調の兆しも見えてきました。連覇はじゅうぶん期待できるのではないでしょうか。
(取材・文:花岡貴子)