「
クリンチャー、いったい誰が乗るの!?」
先週、
武豊騎手が騎乗停止になった瞬間、そのことで頭がいっぱいになりました。
クリンチャーは
ニシノラッシュと同じ担当さんが手がけているというご縁もあって何度となく取材させていただいている馬。昨年の今頃はまだ体が緩くて、
皐月賞では勝負どころでトモを滑らせていたというのに、一年後には本当にたくましく、完成形に近いまでに成長を遂げています。取材のたびにここまでメキメキと成長していく馬は決して数多くはありません。
そして今回は
京都記念から3戦目というローテーション、気性は素直ですし、
武豊騎手も2戦目でさらに
クリンチャーのことを手中に入れるであろうし、何より
武豊騎手は“平成の盾男”。ここは決めてくれるのではないか!? と期待が高まっていたところへ…。ジョッキーの名を聞くまで、いろんな妄想を駆け巡らせていました。
鞍上が三浦騎手に決まったことを知り、さらに水曜朝の追い切りに乗ることもわかりました。すると、再び期待は当初の温度にスッと戻りました。
クリンチャーの主戦を務めてきた
藤岡佑介騎手と似たタイプでガシッと乗る三浦騎手なら、きっと大丈夫、と。
「すでに体も息も出来上がっているので、今週の追い切りは調整程度です。坂路でサッとやる程度を予定しています」と担当の長谷川助手。
一般的に、GIのテン乗りは決してプラス材料ではないと言われています。それでも、こうなった以上はやるしかない。
クリンチャーは性格は素直でも乗り味には少々クセがあるのですが、そういったクセについては「三浦騎手にはこの馬のすべてを伝えます」とのことでした。水曜朝、三浦騎手がどのように
クリンチャーという馬を理解するのか、追い切りや会見が楽しみで仕方ありません。
馬房をのぞくと、いつも通りほどよく
リラックスしている
クリンチャーの姿がありました。昼前だったこともあり、カイバも食べ終わってポワーっとアクビしていましたわ(笑)。馬もアクビって思い切り口をあけるタイプとほどほどにあけるタイプがいますが、
クリンチャーは後者。実に上品でありました。
(取材・文:花岡貴子)