ひと昔前は、ダービーの調教が
ピークでそこから状態は下降線を描いてしまう、という馬が結構いたように思います。
ダービーが終わったあと、自分を戒めるように「“もう少しだけしっかり乗って究極に仕上げたい”という人間の欲がそうさせてしまうんだ」と言った関係者がどれだけいたことか。
でも、最近はひと昔前ほど、この台詞をきかなくなりましたね。いかにダービー本番で最大の力を発揮させるか。その塩梅にこだわる声が主流になりました。
現在、
皐月賞馬・
エポカドーロは久保助手が担当しています。この方、
エイシンフラッシュでダービーを制した経験もある腕利きさんです。その久保助手も「ダービー当日にどれだけ馬が元気かが大事」だと言います。
「
エイシンフラッシュもそうでしたが、ダービーに出走するまでのあいだに力もつけてきているけど、やはり連戦による疲れも出てくるタイミングです。ダービー当日、ゲートが開いたときにどれだけ元気かが大事ですね」
そのあたり、競馬までの仕上げの組み立ての逆算は指揮官・藤原師の得意とするところ。きっと、ち密な構想を描いていることでしょう。
「最終追い切りはある程度やるのか、抑えるのか。やろうと思えばナンボでもできるんですけども、それが馬にとっていいのか。そしてダービー本番で能力を発揮できるのか、というのを馬とずっと相談しながらやってたんですけど。そういう意味で(当週の)追い切りの一番の目的はゴールを過ぎてから馬がどれだけ元気でサッと走れるか、というのを見たかった。そして、見た目より乗った人がどういう感覚でいるのかが重要だった。結果、
ジャッジはすごく良かった」
最終追い切りの藤原師と騎乗者である岡田騎手の見解一致。陣営も納得の仕上げができているようです。ダービーも刻々と迫り、残る行程も少なくなってきました。無事、東京競馬場へ到着する姿を待ちたいと思います。
(取材・文:花岡貴子)