競馬の祭典・
日本ダービーが終了し、いよいよ新たな新馬戦の季節がやって来た。初々しい2歳馬が今週末から続々とデビューする。
基本的に将来を嘱望される素質馬は、実績あるキュウ舎や一流ジョッキーに集まるものだが、ひょっとして意外なキュウ舎や伏兵騎手が新馬戦に強かったりして…との思いつきで新馬戦で馬券になるキュウ舎&騎手を過去3年のスパンで調べてみた。
キュウ舎部門で記者が注目したのは藤岡キュウ舎。単勝回収率133%は強調すべき数字だ。一方、騎手部門も奇遇にも藤岡調教師の息子・藤岡康が単勝回収率140%で大健闘。藤岡親子を黙って単勝ベタ買いしていたら収支プラスとは…。さっそく、このデータを当事者にぶつけてみた。
藤岡調教師は「ウチの新馬戦成績、結構いいでしょ?」とニヤリとした後にこう続けた。
「ウチは割と新馬戦の勝利にこだわっていてね。その先に結果を求める考え方もあるけど、出世する馬って、ほぼ新馬戦を勝っている。何より馬には“負けグセ”ってものがあるから…。一度もレースをしたことのない馬が集まるわけだから“仕上がり具合”にすごく差が出る。完成度とは違う“仕上げ”を大事にしていますよ」
長い競走馬生活とはいえ、やはり最初は肝心。あえてデビュー時に最初の
ピークを設定することで、馬に「勝ちグセ」をつけるというわけだ。
一方、藤岡康は「新馬に乗るときはパドックや返し馬はもちろん、調教のときから馬とのコンタクトに気を使っています。あと馬に“競馬ってきつい”と思わせないようにしていますね」
そういえば“レジェンド”
武豊も若馬に乗るときは「あまり追い込んで競馬が嫌にならんように気をつけてる」と言ってたっけ。新馬は人間でいうと世間をまだ知らない子供。そんな精神的ケアも大事なのだろう。
ちなみに「藤岡キュウ舎の新馬に藤岡康が乗った成績」を調べてみると、単勝回収率は驚異の295%! 新馬戦はとにかく「藤岡親子」がオススメって感じで終わらせるつもりだったのだが…。
安田記念に出走する
ヒーズインラブもまた、さかのぼれば新馬戦で親子タッグを組んで快勝した馬だったりする。「当時から“いい馬だな”って印象でした。前走(ダービー卿CT1着)では一瞬の脚に磨きがかかってきた感じで、すごく力をつけていますね。今回はメンバーも強いけど、楽しめそうです」と藤岡康も色気十分となると…。
ヒーズインラブもちょっと買っておくべきか。
(童顔のオッサン野郎・江川佳孝)
東京スポーツ