現役の
JRAダート重賞最多勝馬をご存じだろうか? 実は
ゴールドドリームを筆頭とした名だたるGI馬を抑え、
インカンテーションの5勝が最多になっている。
2013年の
レパードSに始まり、14年
みやこS、15年
平安S、17年
マーチS、
武蔵野S。3歳時から重賞路線で息長く活躍し、積み上げてきたその実績は称賛に値する。このことを管理する羽月調教師に振ると、いつも「GIIIばかりですから」と謙遜されるが、GIIIばかりを勝ってきたからこそ、恩恵を受けることもある。
インカンテーションが出走する日曜(8日)中京メインのGIII
プロキオンS(ダ1400メートル)で設定されている
グレード別定は、過去1年間でGI(牝馬限定戦を除く)を勝っていれば3キロ増、牝馬限定GI、もしくはGII((牝)を除く)なら2キロ増の斤量を背負うが、
インカンテーションの場合は過去1年でGIIIしか勝っていないため、1キロ増の57キロで出走が可能だ。
現役馬の中で最も
JRAダート重賞を勝っていて、しかも今年、最高峰の
フェブラリーSでも3着に好走した一流馬が、GIIIに57キロで出られるのは正直、おいしい話ではないか。
そんなトップホースが夏場のGIIIに顔を出してきたのにも、ちゃんとした理由が存在する。
「夏場のほうが馬が生き生きとしているんですよね。実際、これまでも夏場のレースは成績もいいでしょ。3歳時の
レパードSのときなんて、ローテーションもかなりきつかったのに馬は、へっちゃらでしたから」
夏場に強いのは納得するにしても、初挑戦になるダート1400メートルに関しては懐疑的な声もあるだろうが…。
「1400メートル? 不安は特に感じていません。1年前ぐらいから、この距離を試してみたいと、ずっと思っていましたから。以前ほど1800メートルでスムーズに競馬ができなくなっている今は、むしろこのくらいの距離のほうがいいのかもしれません」
ひょっとして、夏場のレース+距離1400メートル=
インカンテーションにとって最高のシチュエーション? きっちり週末のレースをモノにして、
JRAダート重賞の獲得タイトルを「6」に伸ばしてもらいたいものだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ