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【POG】ピンシェル出陣“メジロ”の夢背負い…名牝ドーベル最後の子ターフへ

デイリースポーツ
  • 2018年10月06日(土) 06時00分
 「新馬戦」(7日、東京)

 今はなき名門牧場の夢を背負い、1頭のサラブレッドが初陣を迎える。G1・5勝を挙げた名牝メジロドーベル最後の産駒ピンシェル(牡2歳、美浦・高橋文)が、あす7日の東京5R(芝2000メートル)でデビュー。11年に解散したメジロ牧場で当時専務取締役を務めていた岩崎伸道氏が私財を投じて、馬主として最後の夢を託した。初戦の手綱を取るのは、同馬の母の父・メジロライアンの主戦を務めた横山典弘騎手(50)=美浦・フリー=だ。

 この馬には夢とロマンが詰まっている。名牝メジロドーベルの10番目の子にして、正真正銘のラストクロップとなるピンシェル。同馬が誕生した背景には、一人の男の“最後の夢”があった。

 一時代を築き、11年に惜しまれつつ解散したメジロ牧場。当時、同牧場の専務取締役を務めていた岩崎伸道氏が私財をなげうち、既に繁殖牝馬としての役目を終えて功労馬になる予定だったドーベルに、ルーラーシップを種付けした。16年2月に誕生後も、自費で預託料を払って育て上げたのがピンシェルだ。

 当初はドーベルの主戦を務めた吉田豊が手綱を取る予定だったが、昨年12月のレース中の落馬で頸椎を骨折し、現在も療養中。代わりにデビュー戦の鞍上に指名されたのが、母の父メジロライアンの主戦を務めるなど、“メジロ”に縁深い横山典だった。「この馬がなぜ生まれたのか、という話を初めて聞いて素晴らしい夢だな、と思った。走ればいいな、とね。(吉田)ユタカが乗るんだろうと思っていたけど、まさか自分が乗ることになるとは」。50歳のベテランは感慨深げに話す。

母に似ている

 運命を感じている。競馬博物館で6日から開催されるメジロ展で使用するインタビューの収録場所を、横山典はメジロ牧場の跡地にあたるレイクヴィラファーム(北海道洞爺湖町)内にあるライアンの墓前に指定。同牧場を訪れた際、岩崎氏から騎乗を依頼された。「普段は牧場に足を運ぶこともないし、なかなか墓参りをする機会もない。やっぱり、このオファーもライアンが引き合わせてくれたと思っちゃうよな」と、かつてのパートナーに感謝する。

 先月27日に行われた1週前追い切りで初コンタクトを取った。「ドーベルとは顔が似ている。ライアンも感じる。色とか。俺がそう無理やり思っているだけかもしれないけど(笑)」と、目を細めた横山典は「デビュー前に悪いところはない。この感じでどういう競馬ができるか、だな」と期待を口にする。

 オーナーの夢、管理する高橋文師、そして手綱を託された名手。それぞれの思いを背負い、名牝最後の子がターフを駆ける。

提供:デイリースポーツ

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