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今年もサウスヴィグラス産駒、アークヴィグラス/エーデルワイス賞回顧(斎藤修)

  • 2018年10月17日(水) 18時00分
 今年の門別の馬場は開催ごとに時計の出方がかなり変わって、例年以上に時計比較が意味のないものになっていた。特に前半は全体的にタイムが遅かった。アークヴィグラスは、フレッシュチャレンジこそ勝ったものの、時計がかかる決着となった栄冠賞(6月28日)、2歳オープンのカーネリアン特別(7月31日)は、ともに勝ち馬から1秒ちょっとの差で5着に負けていた。しかしその後、フルールC、リリーCと、2歳牝馬重賞を連勝。それぞれ勝ちタイムが、1000m=1分1秒0、1200m=1分13秒5と、後半になって時計が出やすい馬場になって力を発揮するようになっていた。

 もちろん馬自身が成長を見せたということもあっただろう。そして今回のエーデルワイス賞は、リリーCとまったく同じ1分13秒5というタイムで勝利。アークヴィグラス自身の後半3Fも37秒7とまったく同じ。レースのラップを見ても、リリーCが前半35秒3で後半が38秒2、エーデルワイス賞が35秒5で後半が38秒0と、その質まで同じようなレースだった。

 フルゲート16頭立ての大外枠が心配されたアークヴィグラスだが、3番手の外目につけると抜群の手応えのまま4コーナーをまわり、この馬をマークするかのように追ってきた1番人気デンバーテソーロをクビ差で振り切っての勝利となった。逃げるわけではないので、フルゲートでゴチャつく心配がない大外枠は結果的に味方となった。しかしそれも傑出したスピード能力があってのこと。

 中央勢では、選定馬が発表された当初、出走枠4頭中唯一の2勝馬アールロッソがいたが、それが回避して補欠1番から繰り上がっての出走となったのがデンバーテソーロだった。芝で2戦して惜しいところで勝てず、3戦目で使ったダートで直線圧巻の伸びを見せていただけに、この繰り上がりは、陣営にしてみれば、してやったりと思ったことだろう。

 それにしても馬主の了徳寺健二氏(最近は法人名義)は近年、アメリカのスピード血統を仕入れて、まるでこのレースを狙ってきているかのようだ。2015年1番人気で5着だったチェストケリリー、2016年1番人気で優勝したリエノテソーロ、そして今年2着のデンバーテソーロ。ここ4年のうち3回で、いずれも1番人気に支持される素質馬を出走させいる。

 そしてそのアメリカのダート血統を蹴散らす活躍を見せているのが、サウスヴィグラス産駒だ。2015年以降の4年で、リエノテソーロが勝った2016年以外の3回の勝ち馬はいずれもサウスヴィグラス産駒。2015年のタイニーダンサーはその後に北海道2歳優駿関東オークスを制した。

 昨年のストロングハート東京2歳優駿牝馬が2着でその後勝ち星がないが、同年2着だった、やはり父サウスヴィグラスグラヴィオーラが船橋に移籍して東京2歳優駿牝馬東京プリンセス賞を制している。ちなみに昨年グラヴィオーラで悔しい思い(エーデルワイス賞2着)をした小野望調教師は、今回のアークヴィグラスでダートグレード初制覇を果たすこととなった。

 アークヴィグラスはこのあと、ローレル賞(川崎)から東京2歳優駿牝馬(大井)が目標となるようだ。

 サウスヴィグラスは残念ながら今年春に22歳で亡くなってしまったが、2016年が141頭、昨年も173頭に交配しており、再来年までは2歳馬がデビューしてくる。

 函館2歳Sで4着と芝で好走していたエムティアンが、ここでも勝ち馬に食い下がって3着。パドトロワの初年度産駒ということでも注目されているが、このあとどのような路線を目指すのかも注目したい。

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