「
菊花賞・G1」(21日、京都)
天才ランナーの誕生だ。7番人気の伏兵
フィエールマンが、激しいたたき合いを鼻差制してG1初制覇。01年
マンハッタンカフェ以来、17年ぶりに関東所属の
菊花賞馬が誕生した。キャリア4戦目での戴冠は歴代最少キャリア。重賞4連勝となったルメールに導かれ、デビューから267日目でG1馬に上り詰めた。2着は2番人気
エタリオウ、3着は10番人気
ユーキャンスマイルと、友道厩舎2頭が続いた。
勝利の確信は全く持てなかった。ウイニングランをせずに引き揚げてきた
フィエールマン。1着を知らされた馬上のルメールは“信じられない”といった表情で両手をたたいて相棒の首筋に抱きついた。
わずか鼻差でのVに、「負けたと思った。(2着の)ミルコに“おめでとうございます”と言っちゃった。ミルコ、ごめんなさい(笑)」。先週の
秋華賞に続く2週連続G1制覇、そして重賞実施機会4連勝。この秋の絶好調ぶりに笑いが止まらない。
道中は中団の前めで運んだ。「いつもスタートの遅い馬だから後ろの位置になると思っていた。もっと速いペースになるとも思っていたし、いい位置を取れてビックリ。それでもすぐに
リラックスできたし、完璧だったね」
淡々とした流れの中、人馬の折り合いを見事につけて直線へ。先に抜け出した
エタリオウを目標に、必死の左ステッキでギアをトップに上げた。繰り出した上がり3Fはメンバー最速タイの33秒9。激しいたたき合いを内からわずかに制し、最後の1冠を射止めた。
デビュー4戦目での
菊花賞制覇は史上最少キャリア。デビュー267日目での偉業に、手塚師は「パドックでは今までで一番良く見えた。(13年
桜花賞Vの)
アユサンみたいな雰囲気だったから。帰りの新幹線の時間を遅らせて良かったよ」と、自身にとって13年
朝日杯FS(
アジアエクスプレス)以来となるG1勝利の余韻に浸った。
今後について「まずは今回の疲れをケアしてから考えたい」と指揮官。ルメールは「エムバペは19歳で
ワールドチャンピオンに導いた。能力があれば経験は関係ない」と、サッカーW杯優勝の立役者である、母国フランスの若き英雄の名を挙げて相棒をたたえた。異例のスピード出世でG1馬となった“天才ランナー”には、明るい未来が約束されている。
提供:デイリースポーツ