JBCが創設18年目にして舞台を中央に移して開催される。主催者の潤いを考えれば地方開催がベターなのだろうが、あえて地方側から
JRAに依頼した大きな理由が「JBCの知名度のアップ」だという。今開催を捨ててでも得たいのは、幅広い層への認知度。それが上がれば、来年以降の売り上げ増が見込めるという長期展望に立つ、したたかな計算だ。
JBCクラシックでの[地]馬の参戦がわずか3頭という現実は、JBCの本質から外れるようにも思えるが、競馬の持つ魅力のひとつが「多様性」にあるのも事実。京都競馬場が地方再興の足がかりになれば、地方と
JRAの今後の関係性も大きく変化するのかもしれない。
そのJBCデーの華は言わずもがな中距離の
JBCクラシック。過去の優勝馬を見れば、おのずとその時代の競馬シーンが脳裏によみがえるスターホース揃いだ。個人的には、おそらく今年も同じ馬を応援することになるか。昨年の覇者であり、今年で4年連続の参戦になる古豪
サウンドトゥルーである。
「年齢的な衰えですか? 全く感じないですね。普通は8歳になれば脚元がモヤモヤしたり、体が硬くなったりするんですが、去勢の効果か、いまだに馬はシャキッとしている。何より生まれ持った性格が大きいのかな。この馬を担当して今年で3年目になりますが、4〜5歳の馬を触っている感覚が、ずっと続いているんですよね」
こう語るのは持ち乗りの中垣功助手。芝よりも脚元の負担が小さいダート戦が大きく影響するのだろう。第1回から数えて同レース連覇の記録を持つのは5頭。
アドマイヤドン(第2、3、4回)、
ヴァーミリアン(第7、8、9回)の3連覇を筆頭に、
タイムパラドックス(第5、6回)、
スマートファルコン(第10、11回)、
コパノリッキー(第14、15回)と、リピーター続出の歴史は“古豪”の強さを同時に物語る。
京都開催は例年とは違う高速決着を予感させるが、それに対しても泣き言は聞こえてこない。
「川崎や船橋の短い直線でも後方から伸びてこれる馬。前走の
日本テレビ盃(3着)も向正面では“どこさもない”と覚悟するほど離されたが、最後はしぶとく詰め寄りましたから。勝った
ケイティブレイブとも力差はそうないと感じますし、幸いパサパサの馬場で競馬もできそうですからね。冬場に向けて調子を上げるタイプだし、叩き2戦目で走り頃と思っています」(同助手)
舞台が中央に替わっても、連覇という“伝統”を同馬が引き継ぐと信じて一票を投じたい。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ