今年はどの馬がハナを切るのか。京都コースで行われることで、展開は変わるのか。「JBC王者列伝」、今回は2014年と2015年で逃げて連覇した
コパノリッキーをお届けする。
■ともに逃げ切りで連覇達成
コパノリッキーは2014年の
フェブラリーSでGI初勝利をあげると、2017年の現役最後のレースとなった
東京大賞典まで、GIを計11勝した。これはGI最多勝利記録だが、この中身は他馬と一線を画している。それは同一GI連覇が4レースあるということ。
メジロマックイーンや
テイエムオペラオー、
ウオッカ、
キタサンブラックなどの平成の名馬や、「JBC列伝」で取り上げたダート最強馬たちの1レースに比べると異色ではないだろうか(
シンボリクリスエスは
天皇賞・秋と
有馬記念の2レースで連覇している)。4レースは、
フェブラリーS(2014・2015)、
かしわ記念(2016・2017)、
南部杯(2016・2017)、そして
JBCクラシック(2014・2015)である。
JBCクラシックは2年とも3番人気で、8枠15番からのスタートだった。
盛岡2000mの重馬場で行われた2014年は、ハナを奪った
コパノリッキーに5番人気
ベストウォーリア、4番人気
ホッコータルマエ、1番人気
クリソライトが並んで追走、その後ろに2番人気
ワンダーアキュートと高知の
ファイアーフロートが続く。それ以降は差が開き、隊列は20馬身近い縦長になった。直線を向き、
ベストウォーリアと
ホッコータルマエが
コパノリッキーに並びかけるかに見えたが抜かせない。それどころか、後続を突き放し2着馬に3馬身差をつけてゴール板を駆け抜けた。コースレコードを1.1秒短縮する逃げ切り勝ちだった。
大井2000mの不良馬場で行われた2015年も、
コパノリッキーはいつも通りハナに立つ。2番手は2番人気の
クリソライト、3番手グループには国内GIを4連勝して臨んできた断然の1番人気
ホッコータルマエがつける。この年の
コパノリッキーは3コーナー過ぎからリードを広げ、手ごたえ十分で直線に向いた。結局、一度も並ばれることなく、2馬身半差で史上5頭目の
JBCクラシック連覇を果たした。JBCにはその後も出走し、2016年はクラシック5着、2017年はス
プリント2着だった。
コパノリッキーの同一GI連覇のなかで、衝撃的だったのは
フェブラリーSだろう。2014年は抽選突破から最低人気での勝利で、単勝配当2万7210円の大波乱を巻き起こした。それから一年後、堂々の1番人気で連覇すると単勝配当は210円に。配当は大きく変わったが、どちらも直線で抜け出し、2着馬の追撃を抑えての押し切り勝ちというのは変わらなかった。
生涯成績は33戦16勝、2015年には
JRA最優秀ダートホースに、2016・17年にはNAR
グランプリダート
グレード競走特別賞に選出された。デビュー以来、ダート一本で勝負し続け、一度頂点に立ったレースを一年後に再び制すという、難しいチャレンジを乗り越えてみせた。引退式は京都競馬場で行われた。
コパノリッキーは
武豊騎手を背に、一度もレースでは使われなかった芝コースを駆け抜けた。