21年前の悔しさをぶつけようとしている男がいる。
JBCクラシックに出走する
オメガパフュームを担当する安楽厩務員だ。
1997年は
フェブラリーSのGI昇格元年。1番人気で臨んだ
ストーンステッパーは残り200メートル地点で先頭に立ち、ほぼ勝利を確信した瞬間、内から
シンコウウインディに差され、まさかの2着に終わった。
「勝ったと思ったら空いた内からこられて…。一瞬の出来事で涙も出なかった。だから今回こそはと思っているんや」(安楽厩務員)
ストーンステッパーの最後のGI出走は99年
フェブラリーS(14着)。それ以来、19年ぶりに挑戦する大舞台に人一倍気合が入っている。
安楽厩務員は今年2月いっぱいで目野厩舎が解散となり、3月に開業した安田翔厩舎のスタッフに加わった。最大のラ
イバルと目される
ケイティブレイブもデビュー直前、1か月ほど世話をしていただけに胸中は複雑。「おとなしくてええ馬やった。2歳の時点で欠点がなかったもんな。一線級相手にモマれて、結果を出して…競馬ぶりもどんどん良くなっているよな」と元担当馬の実力を認めつつも…。
「
オメガパフュームだって一戦ごとに競馬を覚えてくれて、上手になってきた。前走(
シリウスS1着)は馬混みで競馬ができたのが収穫。今は不安な面がない」とキッパリ言い切るあたり、自信ありとみてよさそうだ。
対する現杉山厩舎の
ケイティブレイブは転厩3戦目の
日本テレビ盃でひと皮むけた強さを披露。担当の房野助手は「3月に転厩してきてから、トモに力がつくように調整してきた。(福永)ユーイチさんも“コントロールが利きやすくなっている”と言ってくれてます。前走はスローでも2番手で折り合いがついたうえに、早めに動いていって最速の上がりをマーク。レースぶりも変わってきましたね」と進化を口にしている。
地方交流戦で実績を積み上げてきた馬だけに、中央の舞台を不安視する声もあるが、房野助手はこれを一蹴。「今週の坂路はチップを入れ替えたこともあって、しまいの時計を要したけど…。先週のウッドの動きが抜群。現状は直線フラットのほうがいいんでしょうね。先行馬は多いけど、今はコントロールが利くので上手に立ち回れる。コース替わりも何も問題ないですよ」と力強い。
5歳
ケイティブレイブが貫禄を示すのか、それとも3歳の勢いで
オメガパフュームが…。個人的には安楽厩務員が21年前の悔しさを晴らすストーリーに肩入れしたいところだが、果たして結末は!?
(栗東の狼野郎・難波田忠雄)
東京スポーツ