JBCクラシックを
ターゲットにした先週の「トレセン発秘話」では、
ケイティブレイブ&
オメガパフュームに鋭く切り込み、予想も◎○▲の
パーフェクトで締めくくった高岡功記者。業界の中でも一目置かれている、尋常じゃない嗅覚はいまだ健在だ。第43回
エリザベス女王杯(11日=京都芝外2200メートル)では「西高東低」から“西低東高”へと変わっているトレンドに注目し、あの関東馬を密着取材。大いなる可能性を見いだした。
「ここのところ、関東馬の勢いが増してきていますよね。我々、栗東で仕事をしている人間は、もっと危機感を持ってやっていかないといけないと思っています」
さすがは才気あふれる高野調教師である。秋競馬が始まって間もない段階で、GIシリーズでの「関東馬の大攻勢」を“予言”していたのだ。
2018年上半期の
JRA平地GI全12戦のうち、関東馬が勝ったのは3レース(
フェブラリーS=
ノンコノユメ、
桜花賞&
オークス=
アーモンドアイ)だけだったが、下半期はまだ4競走が終わっただけだというのに、
秋華賞=
アーモンドアイ、
菊花賞=
フィエールマン、
天皇賞・秋=
レイデオロ…関東馬は早くも春と同数の勝ち星を稼いでしまった。
王道路線を歩む
アーモンドアイ、
レイデオロはもちろん、怪物牝馬と噂される
グランアレグリア(阪神JFではなく
朝日杯FSへ)…この後の強力布陣を考えれば、さらなる量産もあり得る話だ。
もっとも、馬券を買う側にしてみれば、“トレンド”に乗って「関東馬狙い」を遂行すればいいだけのこと。今週の
エリザベス女王杯も“獲物”は東にあり?
ただし、坂路野郎が目をつけた関東馬は、所属は東でも“実物”は西にいる。現在、栗東トレセンに滞在中の
レッドジェノヴァだ。
「過去に栗東に来た経験から、この馬はこっちに来たら合うんじゃないかと思っていたんです。見事にハマりましたね」とは鈴木一成助手。08年の
秋華賞で
ブラックエンブレム(11番人気)、
プロヴィナージュ(16番人気)の2頭が栗東に滞在し、1、3着と大成功を収めたときに調教をつけていた人物だ。
なんでも「まだ動き切れていない部分がある」
レッドジェノヴァに、「栗東の逍遥馬道を歩かせたら、今まで使えなかった筋肉を使えるようになるのではないか」という予感が働いたのだとか。その結果が強力牡馬相手の
京都大賞典での半馬身差2着好走である。
「“(京都)大賞典でいい結果が出なかったら
福島記念に”というプランもあったんです。でも
サトノダイヤモンドにあれだけ詰め寄ってくれて。レース後、引き揚げてきた池添は“
ジャパンCでも”って言ってくれましたよ」
ジャパンCでも勝負になる馬なら、
エリザベス女王杯などはたやすいもの? この
レッドジェノヴァ以外にも
ノームコア、
フロンテアクイーン、
コルコバードなど魅力的な馬が控えている関東勢。関東馬のワンツーなどという結果になれば、栗東で取材している身としては若干の寂しさを感じつつも…。実は馬券で儲けて喜んでいるかもしれない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ