「
フェブラリーS・G1」(17日、東京)
今月いっぱいで定年を迎える沖芳夫調教師(69)=栗東。97年
エリザベス女王杯の
エリモシック、99年
菊花賞の
ナリタトップロードとG1馬を輩出し、弟子として
渡辺薫彦調教師を育てた。最後のG1はオーナーの後押しを受けて、
ワンダーリーデルで挑む。
最後のG1を前にしても、全く気負いはない。今月いっぱいで定年を迎える沖師が、ダートの頂上決戦に
ワンダーリーデルを送り出す。きっかけは山本能成オーナーのひと言。「“沖厩舎でこの馬を使うのは最後。だったらG1に行こう”となってね。今は具合もいい。ベストは千二、千四だけど、成長した今ならマイルでも」と前向きだ。
高校時代に乗馬を始め、馬乗り人生は半世紀を超える。69歳の現在も最低一日1頭に騎乗。「去年の後半に乗る馬を減らしたら血糖値が上がってね」と笑わせたが「見て分かる部分もあるけど、乗って分かる部分もある」と自らの感覚を大切にしてきた。そうやって、30年以上の調教師生活の中で、JRA通算478勝もの白星を積み重ねた。
97年
エリザベス女王杯を制した
エリモシック、99年
菊花賞馬
ナリタトップロードとG1馬を輩出。
ナリタトップロードの主戦だった渡辺師の師匠でもある。今年の
シンザン記念の
ヴァルディゼールで重賞初Vを飾った弟子からも刺激をもらい、「もう十分一本立ちしている。アイツは
トップロードに育ててもらった。僕としても、ひとつの足跡を競馬の世界に残せたのは今後の励みや楽しみになる」とエールを送る。
渡辺師は「“この世界は人から好かれないと駄目。愛される人間になりなさい”とずっと言われてきました」と感謝する。自らの教えはこれからも生き続ける。弟子を背に挑んだ10年
朝日杯FS(
オースミイージー9着)以来、約8年2カ月ぶりのJRA・G1の舞台。人馬に慕われた指揮官は、集大成の一戦に臨む。
提供:デイリースポーツ