中山大障害の前哨戦ともいえる、
イルミネーションJSに出走する
マジェスティバイオ。これまでコンビを組んでいた
柴田大知騎手が、
マイネルネオスに騎乗するため、今回から山本康志騎手とコンビを組むことになった。
中山大障害に乗りたいというジョッキーは他にもいたようだが、
イルミネーションJSと大障害を続けて乗ってくれる人をということで、山本騎手とのコンビが決まった。
「山本君には、先週、今週と2回乗ってもらって、感触をつかんでもらっています。今週は軽く障害を飛ばせた後、北Cコースでサラッと追い切りました。動きは良かったですね」と管理する田中調教師は、レースに向けて好感触を得ているようだ。
また同馬は、飛越も巧み。自分で完歩を合わせて飛越もでき、レースでも安定した飛越を見せてくれる。しかし、練習での低い障害は、なめて飛ぶこともあるそうだ。
さらに「角馬場ではヤル気のないそぶりを見せてますが、コースに出るとスイッチが入って、ヤル気になるんですよね」という大熊厩務員の証言や、「常歩ではダラダラ歩くので、拍車をつけてシャキシャキ歩かせています」という田中師の話を総合すると、どこで本気を出せばいいのかを理解している、ONとOFFがはっきりした馬ということがわかる。
そして、ONとOFFがはっきりしているその性格は、レース振りにも現れている。「騎手が前に行かせようと思っても行かないんですよ。道中、位置取りが後ろですから、ジョッキーは馬を信じるしかないでしょうね。ただ馬はわかっていて、向こう流しに差しかかったくらいから、ハミを取ってグーッと行き出すんですよね」と田中師の言葉もそれを裏付ける。
さらに「レースが近づくと、走りやすいように馬が自分で飼い葉の量を調節しています。だから馬体重の増減はほとんどないですよ」と、大熊厩務員も、笑顔で同馬の賢さを自慢した。
「だんだん性格がきつくなってきましたね。以前はネコのように大人しくて可愛かったんだけど。猫かぶってたのかな(笑)」と笑いながら話す大熊厩務員の横で、
マジェスティバイオは、カメラの方に視線を向けた。その澄んだ瞳が、聡明さと調子の良さを表しているようだった。
中山コースは未経験の同馬だが「中山の方が流れが落ち着くので、この馬には向いているのではないかと思います」と、田中師は初コースでも心配はしていない様子。前哨戦とはいえ、手抜かりのない仕上げの
マジェスティバイオの走りと飛越に、大いに期待したい。[取材:佐々木祥恵]