栗東は4日夜から雨が降り続けて、6日の午前中までかなりの降水量。その後は雨こそ降らなかったが、日が差しても短い時間だったり、分厚い雲が日差しを遮る時間の方が長かった。こんな天候では馬場が乾くこともなく、先週に続いて時計の出にくい馬場となった。
7日に比べて、8日はより馬場が乾いた状態ではあったが、それでも時計の掛かる状態。こうなると水分の問題だけでなく、ウッドチップ自体が傷んでしまっていることが時計の掛かっている要因と考えた方がよいだろう。
【坂路/4F51.9秒】
7日。この日の一番時計は
エイシンキンチェム(栗東・
高野友和厩舎)の4F53.4秒。ラスト1F13.4秒も非常に優秀な数字で、重い馬場も関係ない絶好の動きを見せたと言える。ただ他はラスト1F地点で脚が止まっているような動き。力があるない関係なく、こういった馬場が不得意な馬もいると思うので、そのあたりの判断は非常に難しい。
8日。この日の一番時計は
オルフェーヴル(栗東・
池江泰寿厩舎)の4F53.6秒。ラスト1F12.9秒は馬場が良化したからというよりも、三冠馬の脚力と判断した方がよいだろう。この日も7日同様にラスト1Fで脚色が衰える馬がほとんど、見た目に馬券的食指が動くような馬はいなかった。
先週は馬場差+3.8秒とこれまでで最も時計の掛かる数値にしていたが、今週は雨も降っていなかったので、少し回復した『+3.5秒』で観測した。なお8日は天候的には馬場差を回復させたいところだったが、数字と動きの両面から前日と同じ馬場差にするのが妥当と判断した。
【CW/5F66.0秒】
7日。先週に比べて、追い切り頭数が増えたが、それでもいつもの半分以下という感じ。それだけ馬場が悪いということを示しているが、坂路に比べれば、天候の回復で少しは時計の出る状態になったと考えてよい。
8日。朝一番に追い切られたのが
エイシンフラッシュ(栗東・
藤原英昭厩舎)。
鮫島良太騎手が跨って、残り5Fすぎからペースアップ。6F82.7〜1F12.9秒と重い馬場にもたつく他馬とは違った動きを見せている。
7日は前日までの雨の影響も残っていたので『+2.5秒』で観測。8日は追い切り時計の出方を見ても馬場が乾いたと判断してよさそう。『+2.0秒』まで馬場差を回復させて観測した。
【DP/5F64.5秒】
7日、8日ともに追い切り頭数はかなり多い。使用頻度が高くても馬場が荒れるということはないが、グリップ力がしっかりしているポリトラック馬場では脚元への影響がある馬も少なくないようで、追い切り中に故障した馬もいた。
だからといってマイナス面のある馬場ではなく、今のウッドチップ馬場が重い状況だと、追い切りで疲労が残らないポリトラック馬場の方がメリットがある。実際、先週のレース結果を分析すると、最終追い切りをDPにしていた馬がかなりの頭数勝ち上がっている。
なお馬場差は7日、8日とも先週と同じ『-0.3秒』で観測している。(取材:井内利彰)
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。