netkeiba.com、競馬総合チャンネルのパドック予想でお馴染みの古澤秀和氏による、9日(土)の傾向分析です。明日の予想にお役立てください。
【阪神芝】
夏の阪神は、本日から最終日まで内ラチ沿いから3m外へ仮柵設置のBコース使用となる。
関西地区は昨晩からまとまった降雨が続いており、一日を通して降雨の中でレースが進んだ。朝から終日稍重発表ではあったが、内回り・芝2200mで行われた8R
香住特別(3歳以上500万下)は、勝ちタイム2分16秒5、上位入線馬の上がりは軒並み36秒5前後。11R水無月S(1200m)でも、1分9秒8と完全に時計の掛かる馬場状態となっている。
なお、6R以降に関しては、4コーナーから直線で外に馬場の3・4分処どころより外の進路取りで好走する馬が目立った。特に芝1200mで行われた11R水無月S(1600万下)では、直線馬場の6分どころ付近を通った馬が1・2・3着を独占した。
こうした状況からも、午後の芝は実質「重〜不良」と考えていいだろう。馬場の伸びどころも先行有利だった馬場状態から、外差しへと一気にシフトしている。
血統面では相変わらず
サンデーサイレンス系が中心だが、
ステイゴールドや
ハーツクライ、
アグネスフライト、
タヤスツヨシ、他系統では
タイキシャトル、
ジャングルポケット、
キングカメハメハといった、重馬場を苦にしない種牡馬が多数台頭している。
明日も予報では午前中が雨予報となっているので、馬場状態の変化には注意を払っておきたい。
【阪神ダート】
芝同様に降雨の影響により、終日不良馬場でレースが行われた。
時計は一日を通じて速く、1800mの3R(3歳未勝利)では1分51秒7をマークしたほか、1200m戦の10R鶴見特別(3歳以上1000万下)でも、1分10秒2という好タイムで決着している。
このようにスピード優先の馬場状態ということもあり、ダート6鞍で3着内18頭のうち、半数9頭が
サンデーサイレンス系の種牡馬。しかも、1番人気は1頭しか該当しておらず、
アドマイヤマックス・
トーセンダンス・
アッミラーレ・
スズカマンボといった、
サンデーサイレンス系の中では筋肉量が多い産駒が人気薄で台頭していた。
留意点としては、先週の土曜は同様に湿った馬場で前有利が続いたが、今週は同じように水分を含んだ馬場状態でも、朝から8Rあたりまでは差し馬の台頭が多数見られた。逆に、水が浮き出した10R・12Rでは内枠や先行馬有利になっており、一日を通じて馬場状態が変化していった点は注意しておきたい。
明日午前中にかけても引き続き雨予報が出ているので、前記のような
サンデーサイレンス系種牡馬の台頭には注意したい。
【福島芝】
今日から東日本では、2年ぶりとなる「夏の福島開催」がスタートした。前半4日間はAコース使用となる。あいにく朝から小雨が降り続いていたものの、終日良馬場を保っている。
ただし、時計面は芝1200mの2R(3歳未勝利)では1分9秒2だったが、10R
さくらんぼ特別(3歳以上1000万)は1分8秒8。芝2000mの11R
阿武隈Sは2分00秒4と時間の経過と共に雨の影響は受けている。
脚質面では、道中ラチ沿いやラチ沿い2頭目を走った馬でないと台頭できない、朝から午後まで一貫して極端に内・逃げ・先行有利の馬場状態。
芝4鞍を消化した8R以降はジョッキー意識も高まって前も捕まり気味だったが、差してくるケースにしても、11R1着
ニシノメイゲツや2着
セタガヤフラッグ、10R3着の
ドリームフォワードのように、3コーナー過ぎまでは内目をロスなく回っていた馬ばかり。
やはり、内目を通れる馬が圧倒的有利な馬場コンディションと見ていいだろう。
血統傾向は先行有利の馬場状態もあって、芝1200m戦で
キングカメハメハ産駒が3連勝。芝中長距離に目を向けると、サンデー系でも
トーセンダンス・
デュランダル・
ブラックタキシードといったパワータイプが台頭している。
明日も雨予報だが降雨量に関わらず急激な外差しは考え難く、余程の悪化がない限りは前々や内有利で進むと見て良さそうだ。
【福島ダート】
終日良馬場発表なっているが、1150m戦の12Rでは脚抜きも良くなり1分7秒3の好時計で決着しているように、一定レベルに雨の影響は受けている。
土曜は1700m戦、1150m戦が2鞍ずつ組まれ、いずれも2番人気以内に推されていた馬が4コーナーに立ちそのまま1着。逆に、逃げ馬を追った番手の馬が早めにタレてしまい、2、3着争いはマクリ上げてきた馬や追込みが目立った。いずれにしても、上位人気馬による順当決着が続いた。
基本的には、先行馬が圧倒的に有利な馬場状態と見ていいだろう。
明日は馬場悪化か現状維持で精一杯といった天候だろうし、ジョッキー意識に変化が出ない限りは本日同様に前々有利の馬場傾向となりそう。
【函館芝】
終日良馬場発表でAコース使用。
開幕2週目で馬場状態は相変わらず良好。ただし、洋芝らしく1200mの11R函館日刊スポーツ杯(1000万下)では1分9秒6。1800mの8R(3歳以上500万下)では、1分49秒1とほどほどに時計のかかる決着となっている。
傾向としては基本的に内枠・先行が有利。特に1200mでは差してくる馬も基本的には内枠の馬だった。外枠の馬については行き切れるタイプが台頭している印象だ。明日も同様の傾向になりそうだし、内枠・先行馬を中心に組み立てたいところ。
血統面に注目してみると、芝1200mでは
クロフネ、
フレンチデピュティ、芝1800m以上では
ダイワメジャー、
ダンスインザダーク、
ハーツクライ、
ロージズインメイらのスタミナやパワーに優れた系統の種牡馬が人気薄で台頭。中央場所では切れ不足に陥りやすい血統が、洋芝で水を得たように躍進している。
逆に、人気で危ないパターンとしては、中央場所で上がり34〜33秒台前半の切れ味で好走してきた馬。馬体から見ても傾向は同様で、あまり骨の細い馬は洋芝でパワー負けしている印象だった。
明日は雨予報が出ているし、これらの傾向は更に加速するものと見ている。
【函館ダート】
終日良馬場でレースが行われ、終日前残りの競馬が続いた。
ダート戦6鞍での連対馬12頭のうち、10頭が4コーナーで3番手以内に付けていた馬。かといって、逃げ切り勝ちは0。確かに強烈な決め手を持った馬の出走自体が少なかったことも影響しているだろうが、とにかく流れに乗って先行できる馬でないと勝負にならない馬場だった。このような馬場状態もあり、差し馬は大勢決してからの3着争いが精一杯という状況が続いていた。
時計面は、1700mの7R(3歳以上500万下)で1分45秒7、同条件の9Rで1分46秒0と標準。なお、午前中の未勝利戦では相変わらず上がりの掛かる競馬が続いて、先週同様に力の要る馬場コンディションと見ていいだろう。
枠順の偏りとまではいかないが、外目の枠の場合はスタートから前付けしておかないと苦しく、そうした策が奏功するケースも目立った。
血統傾向としては
サンデーサイレンス系優勢だったものの、上述の通り展開が勝負の鍵になっていた感が強く、そこまで意識する必要はないだろう。
明日は雨予報が出ており、傾向的には軽い質になっていきそうだ。